【報告】第8回アジアの民主化を促進する東京集会「中国の覇権主義とアジアのゆくえ」

投稿日 :2018年10月29日

https://www.asiandemocracy.jp/2018/10/21/280
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第8回アジアの民主化を促進する東京集会「中国の覇権主義とアジアのゆくえ」

10月13日、東京都文京区の拓殖大学キャンパスにて、アジアの民主化を促進する東京集会が開催されました。参加者は約60名、まず最初に、当会名誉会長の加瀬英明氏が登壇しました。

加瀬氏は、今年は明治維新から150周年を迎える、明治以降の日本の夢は、本質的にアジア解放であったことをまず語りました。その上で、いよいよ中国の覇権主義の終わりが近づいている、中国の新帝国主義がほころびを見せ始めているとし、親中派の国パキスタンですら中国から距離を取り始めていると述べました。

その上で、今トランプ政権が行っている対中政策は、中国の現政権を倒す方向に動いており、たとえ時間はかかっても、今、アジアの自由と民主化にはやっと光が見え始めている、日本国民は全力を挙げて、中国の抑圧下にある、チベット、ウイグル、南モンゴル諸民族を解放しなければならないと述べました。

続いて、石平氏が登壇、今自分はある種の感動で興奮状態にある、それは10月4日に行われたベンス副大統領の演説によって、現在の中国共産党政権は長くはないという確信を持つことができたからであって、やっとアメリカが覚醒した、これは事実上の対中国宣戦布告だと考えていると述べました。

アメリカが、従来の、中国の近代化や経済の改革開放を支援すれば、長期的に民主化に向かうという認識の過ちをついに認めた。アメリカのこれまでの期待は結局中国に裏切られ、その経済支援は、小さな泥棒を巨大な泥棒に育ててしまっただけだった。もはやアメリカは二度と同じ過ちを犯してはならないと石平氏は指摘しました。
 
そして、ベンス副大統領の演説で、特に注目すべきは、中国におけるキリスト教弾圧を批判したことで、これは一番アメリカ人の琴線に触れることであり、また、ウイグルでの収容所、チベットでの焼身抗議などへの批判を通じて、中国は単にアメリカにとっての脅威ではなく、人権や信仰の自由を尊重するすべての人類の敵であるというメッセージが、あの発言には込められていると石平氏は評価しました。

そして、中華人民共和国という存在は、まさに中国史における暗黒時代であり、中国の知識人は殺されたり自殺に追い込まれたりし、ウイグル、チベットなどは侵略された。毛沢東は1976年に死んだけれど、彼は人間を苦しめ、殺してきた悪魔のような人物だった、鄧小平も、共産党の一党独裁を維持するという点では実は毛沢東と同じだったのだけれど、彼は改革開放の幻想で世界を騙す能力を持っており、世界各国の経済支援を取り付けて、経済の改革は確かに行った。しかし、経済の自由化が必然的にもたらす民主化運動に退位しては、天安門事件などの形で徹底的に弾圧してしまった。それが天安門事件(1989)だと石平氏は指摘しました。

この時に残念だったのが、天安門事件の段階で、アメリカも、日本も、世界も鄧小平と中国の本質に気づくべきだったのだけれど、世界はそれを見誤ってしまった、特に残念なのは、当時の日本政府がいち早く中国政府への制裁を解き、宮沢内閣が天皇訪中を決めてしまったことで、それによって中国は国際社会に復帰し、世界中が気づいた時には、中国は軍事力も、経済力も巨大化してしまったと石平氏は批判しました。

この中国に対する幻想を打ち砕いた功労者は、ある意味では習近平だと石平氏は述べました。習近平政権はある意味本音をむき出しにして、ここ数年間はアジアへの覇権主義、南シナ海への軍事拠点建設、台湾への圧力強化、一帯一路政策によって周辺諸国の属国化の推進など、まさに新しい帝国主義的野望を見せている、もしも、世界中がこれに屈したり看過したりすれば、アジア全体が中国に支配され、今のチベット、ウイグルのような悲惨な状態になってしまっただろうと石平氏は指摘しました。

しかし、この習近平という悪魔の正体をはっきり認識したのがトランプ大統領で明日と石平氏は指摘し、確かに、トランプには失言もあれば極端な部分もあるかもしれないが、中国の正体を見抜きそれに対峙したということは、政治家として偉大なことであり、中国共産党の帝国主義を止めたというだけで、彼は偉大な政治家として名を遺すだろうと石平氏は評価しました。

石平氏は、トランプ大統領の戦略について、ISと朝鮮半島という戦争に発展しかねない問題があった時は中国に対してはむしろ融和的で、北京で習近平をほめたりしていたので、中国側は油断していた。ISが崩壊し朝鮮問題が一定の話し合いができた段階で、中国に対し経済戦争を仕掛けている、トランプは乱暴に見えて、戦うタイミングなどは慎重に計算し、相手を油断させるためには時には持ち上げたりもする、いい意味で企業をやってきた人間の柔軟さがあると評価しました。

そして、現在の中国政権を倒さなければならないというのはすでにアメリカのコンセンサスとなりつつあり、これ以上、もう中国に、習近平政権に時間の猶予を、アメリカも世界も与えてはならないと石平氏は指摘し、アメリカが事実上の対中貿易戦争を始めた、中国の貿易黒字の6割がアメリカである以上、中国はこのまま追い詰められれば一帯一路政策を実行する資金も、他国にばらまいて国際世論を味方につける力もなくなっていき、近い将来中国は国際社会から孤立し崩壊するだろうと石平氏は分析しました。

しかし、追い詰められた習近平が何らかの軍事行動を仕掛ける危険性は確かにあり、それには日本を含め周辺諸国は備えねばならない。同時に、日本国は、そして世界は、今度こそは中国政府に手を貸すようなことをしてはならないし、また、私たちはただ中国が倒れるのを待つだけではなく、その民主化、また、各民族の独立を訴えて頑張って運動していかなければならないと講演を結びました。

続いて、当会副会長でウイグル人のイリハム・マハムティが登壇し、この夏、国連の人種差別撤廃委員会にて、中国がウイグルで行っている、「再教育センター」という名のもとでの強制収容所の問題が取り上げられた。しかし、中国はもはやその存在を隠そうともせず、平然とそのようなセンターがあることを認めた。中国の傲慢さは、世界の国々を馬鹿にしていると批判しました。

その上で、中国のやり方は、まずアジア全体を支配し、その後は世界を支配すること、そして日本が真っ先に危機にさらされること、このことはもう10年以上前から私は訴えてきたつもりだけれど、いまだに日本では充分に理解されてこなかった、それは自分の力不足もあるけれど、もっと日本の人たちも気づいてほしいと警告しました。

その上で、中国人がウイグルに入ってきた時は、最初は友好的で、何も求めず、むしろ一緒に仕事をしようと言って入ってきて、私たちウイグル人が彼らを信用して受け入れると、いつの間にか私たちのほうが支配されてしまった。そして今ウイグル人は動物以下の扱いを受けていると述べました。

そして、合法的なのかもしれないけれど、いま中国は日本の土地を北海道などで買っている。これも日本は油断しているうちに、例えば千歳空港の近辺などを買い占められてしまう。これと似たことは自分たちウイグル人も体験してきたと語りました。

その上で、今ウイグル人にとってつらいのは、収容所に両親が収容され、幼い子供が残される。その子供たちを親戚が面倒を見られればいいのだけれど、子供を中国政府が連れ去ってしまい、幼稚園に隔離する。その幼稚園には鉄条網が張り巡らされ、子供たちは中国式の名前を付けられ、中国人として育てられる。このようなひどいことが起きているとイリハム氏は告発しました。

そして、アメリカやEUはやっとこの問題に声を上げ始めたが、現在アメリカが訴えているのも、世界ウイグル会議が多くのウイグルでの内部情報を伝えているからであること、これまで、アメリカも911テロ事件ののち、中国がウイグルを弾圧するのを黙認してきたことにも責任があるはずで、今はアメリカも反省し、ウイグル問題に真摯に取り組んでいるし、世界ウイグル会議とも連携していると述べました。そして、これからは日本も、アジアの民主化のため、民族自決権確立のため、もっと声をあげてほしい、特に政治家や企業家はなぜ沈黙を守るのかと批判し、自分の利害よりも、国の名誉や、自由、人権の価値観に立って堂々と中国を批判してほしいと述べました。

続いて、当協議会副会長でモンゴル人のオルホノド・ダイチン氏が登壇。今、「ウイグルの問題が盛り上がっている」などという言葉を時々耳にするが、これは、ウイグルで残酷な弾圧に苦しんでいる人のことを思うと、言葉としてやや失礼と思うとまず述べたうえで、世界がウイグルの問題を中止し始めたことは素晴らしいことだ、しかし、かつて南モンゴルでも、ほぼ同じことがなされてきたと述べました。

中国共産党は、建国直後から、南モンゴルで「土地改革」の名の下でモンゴルの牧主を何千人も殺してきた、そして、60・70年代の文革の時代、南モンゴルでは、モンゴル人だということで虐殺されてきた歴史があったと述べました。そして、この8月の国連人種差別撤廃員会で、南モンゴルの人権問題が取り上げられたことの意義は大きいと述べました。

ただ、ダイチン氏は、中国政府は国際的に非難されたり追い詰められたりした時に、さらに国内の弾圧を激しくし、不満を持つ人を根絶やしにし、また恐怖で沈黙させようとする、国際社会も、そして私たちも、そのような弾圧に断固抗議し続けなければ犠牲が増える一方だし、また、近く訪中する安倍総理もこの人権問題にも触れてほしいと述べました。

最後に、当会会長のペマ・ギャルポ氏が登壇し、現在、チベットでは今年になってチベット語を使うことがついに禁止され、各家には番号が振られて、人々がどこに行ったか、誰が家にお客で来たかも監視されるようになっている、中国のアジア覇権主義の基地としてチベットは位置づけられ、空港が建設され、それは空軍基地として使われていくと指摘しました。

そして、20世紀におけるアメリカの誤算は、ソ連を倒すためには中国を助けるべきだと考え、膨大な経済支援を与えることで中国を巨大な怪物にしてしまったことだった、そして、石平氏が述べたように、天安門事件の時点でその過ちに気づくべきだったのに、日本を含む国際社会はその後も中国を助けてしまった。それと同じ過ちを、実は今日本は、この2018年にも再び犯そうとしていると警告しました。

それは今回、経団連主導で行われるスワップ協定で、再び日本はお金を中国政府に出して延命させかねない、それは、中国民衆に対する裏切り行為であり、日本自身にとっても、自分の首を吊るロープをわざわざ中国に渡すようなものだ、それは例えばカトリックのローマ法王も同じように中国を助けている。中国の地下教会の人々は、命を捨てて信仰を守っているのに、法王は中国に妥協し、無神論の共産党が作り出す司祭を法王庁が認めようとしている。それによって、例えば南アメリカのカトリック諸国がドミノ現象的に台湾との距離を取り始めている。このような現実をしっかり見つめつつ、私たちは中国の民主化運動とも連帯し、このアジアの自由と民主化を実現していきたいと結びました。

その後、三浦事務局長の朗読と、会場の拍手による採択で、アジアの民主化を促進する東京集会は閉会いたしました(文責 三浦)