【動画あり】第15回アジアの民主化を促進する東京集会報告

投稿日 :2025年11月11日


(11月9日当日配布した各民族の資料集、ダウンロードしてお読みください)

 11月9日、アジアの民主化を促進する東京集会が東京高田馬場の会議室にて開催されました。参加者は約110名、会場は超満員の盛況でした。
 まずペマ・ギャルポ会長の開会あいさつの後、3件のメッセージが紹介されました。

「今、中国の覇権主義的行動がいっそう露骨となり、アジアの自由と民主主義の秩序が大きな試練に直面しています。私たちは、この現実から目を背けることはできません。
アジアの未来は、力による支配ではなく、人間の尊厳と多様性を尊重する、『自由』と『対話』の精神の上に築かれるべきです。そのためにこそ、民主主義国家が連帯し、互いの信頼と協力を深めることが不可欠です。」
「日本は戦後、平和国家として歩んできました。その道をさらに確かなものにするためにも、アジアの隣人たちとともに、自由・民主主義・基本的人権・法の支配という普遍的価値を守り抜く義務があります。」
「チベット、ウイグル、香港、台湾、そして自由を求めるすべての人々の声に、私たちは耳を傾け、ともに立ち上がらなければなりません。真の平和とは、沈黙の上に成り立つものではなく、勇気ある発言と行動によって支えられるものです。」
「今こそ、アジアの民主主義の灯を絶やさぬために、私たちは連帯の輪を広げていくべき時です。未来を生きる子供たちのために、希望と自由のアジアを共に築いていきましょう」
                           元文部科学大臣 下村博文

「グローバリズムが終わり、今、世界は新たな秩序に向けた変化の時を迎えている・・・そう感じています。」
「グローバリズムという経済的な手法では、残念ながら世界の安定は築けませんでした。覇権主義国家に民主主義が定着することもありませんでした。むしろ、グローバリズムを利用した経済成長が、覇権主義的性格を強めることになってしまったと言わざるを得ないと思います。」
「2020年、テレビの向こうで、私の目の前で、香港の自由は奪われました。『力なき正義』の弱さ、脆さを目の当たりにし、衝撃を覚えました。あれから5年、中国共産党の覇権主義的行動はその度合いを増しています。」
「幸い、日本には自由があります。その自由の下で、日本社会に向けて、広く世界に向けて、アジア各国の現状を発信していただくことには大きな意味があると思います。」
「本日の集会が、アジア諸民族が直面する問題の核心に向けた確かな一歩になることを心から願い、また、我が国が、より強くしたたかに国際社会と対峙する知恵を得る機会となることを願い、ご挨拶に代えさせていただきます」
                         衆議院議員 石橋林太郎

「この度、アジアの民主化を促進する東京集会へのご案内を賜り、心より感謝申し上げます。
本来であれば、私も皆様と共にアジアの自由と民主主義の未来について語り合いたいところでしたが、公務の都合により出席がかなわず、誠に残念に存じます。」
「アジア各国で自由と人権を守ろうと努力されている方々に、心より敬意を表しますとともに、本集会が実り多く、今後の民主化の流れをさらに力強く後押しする場となりますことをお祈り申し上げます。どうかご盛会のうちに幕を閉じられますよう、心よりお祈り申し上げます。」
                              参議院議員 塩入清香

 続いてペマ会長の挨拶の後、参加していた折本龍則千葉県議会議員が紹介され、ペマ会長を通じたチベットとのかかわりについて述べたのち、江崎道朗麗澤大学特任教授による「ハドソン研究所の驚くべき対中戦略」と題した基調講演が行われました。
 江崎氏はまず、アメリカの政治を考える上で最低限の了解事項として認識しなければならないのは、アメリカは一枚岩ではないこと、共和党にも民主党にも様々な意見を持つ政治家がおり、そのうちの極端な発言を引用してアメリカ政治を論じるようなことをしてはならないと指摘しました。
 続いて、アメリカの政治は大統領制であり、大統領が変わればその外交政策は180度変わることがある。そこは議会制民主主義の日本とは違うところで、また、アメリカの政治は、複数の民間シンクタンクの意見のうちどれを採択するかで決定される。したがって、アメリカの政治を論じる際は、このシンクタンクの発表している論考を読まねばならない。現在のトランプ政権に近いシンクタンクは、ヘリテージ財団、アメリカ第一政策研究所、ハドソン研究所の3つで、このシンクタンクの論考を読まずしてトランプ外交を論じることはできないと江崎氏は述べました。
 そして、アメリカという国は長い歴史を持たない国であり、だからこそ歴史にこだわるという一面がある。第一次トランプ政権時代、キッシンジャー外交以後50年ぶりに対中外交が転換された際、アメリカは、マイク・ポンペオ国務長官の対中政策アドバイザーを務めていた歴史家・戦略家で軍事史及び現代中国の専門家であるマイルズ・マオチュン・ユ教授は、約100年前の第二次世界大戦前と戦時中の米中日ソ四か国の近現代史を総括するところから対中戦略を検討した。またアメリカの戦略は、敵とみなした相手に対しては、相手を占領してコントロールするまでの計画を立てる。第二次世界大戦においては、パールハーバーの二か月後には、アメリカは日本の占領計画を立てる準備を始めた。そのような発想は全く日本側にはなく、よかれあしかれアメリカとはそのような国であることを認識しておくべきだと江崎氏は指摘しました。
 その上で、ハドソン研究所が2025年7月16日、マイルズ・ユ(Miles Yu)編『共産
党後の中国:CCP 後の中国への備え(China after Communism: Preparing for a Post-CCP China)』と題する報告書(128頁)を公表したこと、本日はその内容について解説することを述べました。
 この論文では、①「中国共産党(CCP)が体制を強化し、覇権主義を拡大する一方、内部では重大な危機に直面している、誤った経済政策によって無駄な建築物を作り、高齢化と出生率の低下により労働力不足をきたし、住宅状況の混迷と不動産開発会社の破綻、若年層の失業率の高さ、政治腐敗、官僚の非効率性などがみられ、中国共産党体制の崩壊の蓋然性は高まっている。その崩壊に備えなければならない」と述べられています。
 江崎氏はさらに、この論文第1章では、「CCP 崩壊後の米特殊部隊の役割」として、第二次世界大戦中同様、中国共産党政府の崩壊時には米特殊部隊(SOF)が事態を安定化させる準備をしなければならないと提案されていることを指摘、まず化学兵器、生物兵器の拡散を防止する(おそらくここには核兵器も含まれる)、金融システムの混乱を安定化させる(つまりアメリカ主導で支配する)、人民解放軍の武装解除とスリム化、スパイ対策として、秘密警察ネットワークを解体するとともに、その記録を確実に保存して、だれがスパイであったか、協力者であったかの情報を確保する、などの点がこの論文では挙げられていると述べました。
 そして、本日の集会にかかわる問題として、中国崩壊時には、現在の各自治区、特に広西チワン自治区、ウイグル、チベット、内モンゴル、寧夏回族自治区などでは、これまでの圧政に対する報復や内戦が起きる危険性がある、また、キリスト教徒や法輪功などに対しても同様で、人権を保護するとともにいかに内戦にならぬよう防止するかを考えなければならない、と同論文には述べられていると江崎氏は指摘しました。
 さらに「憲法制定会議」という、中国を民主主義国家にするための新憲法制定についても述べられており、江崎氏は憲法は領土を定めるものであるから、尖閣列島の帰属のためにも日本はこの憲法制定会議には関与すべきだし、この論文に述べられているアメリカの対中戦略に、各民族も日本も積極的にコミットすべきだと江崎氏は強調しました。
 とくにアメリカが強く意識しているのは、たとえこれまでどのようなひどい圧政下にあったとしても、各民族が、中国共産党体制崩壊の時点で暴力的な報復をすることは許されないという点であり、そのような意思を持つ集団はこの議論には参加させるべきではないとしている。たとえば南スーダン、イラクなどは、独裁政権が倒れたのちも、部族間抗争や宗教間対立が続き、政治は混乱したままになっている、自由、民主主義、法治の原則に立たなければ、各民族の独立を認める意思はアメリカにはないだろうと江崎氏は述べました。
かつてレーガン政権時代、アメリカはソ連を崩壊させると主張していた、しかし、実際にブッシュ政権時にソ連の内部崩壊や東欧の共産主義政権が崩壊したとき、実はブッシュ政権はほとんど途方に暮れてなすすべがなかった。アメリカからすれば、その後大きな内戦も混乱もなく済んだことは奇跡的だと考えており、中国の崩壊時には同じようにいくとは期待できない。
だからこそ、それに備えてアメリカ国内で省庁横断型のタスクフォースを作るとともに、既存国際同盟におけるパートナーとの協力に依存すると論文には述べられており、パートナーにはインド太平洋地域における三極安全保障協定「AUKUS」(豪州、英国、米国)、既存の「ファイブ・アイズ」(豪州、英国、米国、ニュージーランド、カナダ)参加国、および地域の同盟国である台湾、日本、韓国、インド、フィリピンも加わる可能性があると述べられていると江崎氏は指摘しました。そして、この書き方では日本はまだ「可能性」にとどまっている、それでいいのだろうか、と江崎氏は問題を提起しました。
 さらに江崎氏は、アメリカが中国崩壊時に各民族が「報復」することを警戒しており、各民族の運動は暴力の抑制や、政治的判断を注意深く行わなければならない、チベット、内モンゴル、ウイグル、香港、マカオなどは、崩壊時に自動的に独立を得られるかどうかはわからず、ワシントンが提起する条件を受け入れなければならないだろうと江崎氏は予測しました。
その条件とは、民主主義原則に合致した自己決定権(self-determination consistent with democratic principles)? 既存国境の承認(recognition of existing borders)? 民主主義と法の支配の支持(support for democracy and rule of law)? 人権及び少数民族の権利の保護(preservation of human rights and rights of national minorities)? 国際法及び義務の尊重(respect for international law and obligations)であり、既存国境の承認とは、本来ここが民族の領土だったといった歴史をさかのぼった現状変更は許されないということであり、また人権と少数民族権利保護とは、仮に、各民族地域に漢民族が「少数派」として存在した場合、その人たちの権利は守られなければならないということだと江崎氏は解説しました。これ自体は確かに大国の冷酷な論理だが、現実にこのような事態が訪れる可能性があり、そのことを今からアジアの民主化を目指す皆さんは討議しておく必要があるのではないか、と江崎氏は述べました。
 その上で結論として、アジアの民主化を目指す勢力は①こうしたアメリカの民間シンクタンクの議論を徹底的に分析する②交渉当事者としてワシントンから認められるための準備を進める③ワシントンに省庁横断タスクフォースの設立を働きかけ、そのメンバーに加わる④日本政府にも、アメリカのこうした議論に関与するよう要望する、などの取り組みに進むべきではないかと江崎氏は述べ、基調講演を終えました。

 休憩をはさみ、石平参議院議員が登壇、江崎氏の講演を聞いて、中国共産党政権がついに倒れる日が来ることへの期待が高まった、これまでの中国の王朝が崩壊してきた歴史を自分なりに調べてきて、習近平政権は、明らかに崩壊に向かう要素がそろっており、確かに時間の問題で大きな変化が訪れるだろうとまず述べました。
 そして、1949年に共産党政権が成立して以後、どれだけの中国の民衆が、そして各民族が不幸になってきたかは計り知れない。もともと独立してきた国が主権を奪われ、今やジェノサイドの対象になっている。毛沢東政権から、文化大革命と改革開放を経て、現在の習近平政権になってはっきりわかったことは、中国共産党には何の期待も幻想も抱いてはならないということだ。私(石平)自身、20代のころは民主化運動に参加し、中国をよくしようと活動していたが、1989年の天安門で、その希望はついえた。今や、各民族にとっても、中国民衆にとっても、もちろん日本にとっても、共通の敵は中国共産党であり、敵は北京にあると認識すべきだと石平氏は述べました。
繰り返すが、中国共産党に対する幻想や期待は一切捨てるべきであり、これまで日本を含め、経済的に中国を支援すれば民主化する、中国と友好関係を結べば平和になるといった希望はすべてむなしかった。今でもそのような幻想に縛られている人がいるが、もはやそのような言説は中国政府の延命に手を貸し、各民族への虐殺、日本への脅威の共犯者になることだと石平氏は断言しました。
そして、自分は高市政権の誕生を歓迎しているが、その高市政権ですら、所信表明演説で、「中国との戦略的互恵関係、中国との安定した関係」といった言葉を使わざるを得ないことには正直残念に思っている、自分は国会議員として、中国共産党を批判し続けることが仕事だと考えている、あの中国共産党政権を倒すことなくして、アジアの平和などありえないことは明らかだからだと石平氏は述べました。
さらに、今から考えておかなければならないことは、中国が崩壊した後の難民問題についてだ。自分は1年生議員ではあるけれど、今から国会に「中国の崩壊を早める議員連盟」また「中国の崩壊に備える議員連盟」のようなものを作りたい、そして特別の法案を提起したいと本気で思っている、と石平氏は宣言しました。
そして、自分は中国政府から「制裁」を受けたが、何かをやられたときはやり返さなければならないと思い、中国語で習近平を激烈に批判するYouTubeを始めた。するとすでに13万回近く再生され、しかもコメント欄には中国語の書き込みで、もっとやってくれ、という声がすごく多い。実は習近平政権は中国人からも見捨てられつつあると力強く語りました。
続いて批評家で協議会副会長の西村幸祐氏が登壇。この協議会が15年前にスタートしたのと同じ時期、尖閣列島で中国漁船による衝突事件があり、それをもみ消そうとした当時の日本の民主党政権に怒った一色正春氏がその時の映像を公開して大きな国民運動が起きたことを回顧しました。その上で、日本はこれまでの歴史で、遣隋使の時代の聖徳太子の書簡にみられるように、常に中国による華夷秩序から脱出しようとしてきた。この華夷秩序とは、中国の皇帝が世界の中心であり、周辺諸国はみな属国だという古代からの思想であり、実は中国は2000年たった今でもその思想が残っていると西村氏は指摘しました。
そして興味深い事例として、今回、韓国の新聞、朝鮮日報が初めて「天皇」という言葉を紙面で使った、これまでは「日王」という、まさに華夷秩序に根差した言葉しか使わなかったのに、韓国の意識が初めて華夷秩序から脱却しつつある表れかもしれないと西村氏は指摘し、日清戦争こそが、朝鮮半島の中国支配からの脱却をもたらしたのだという歴史的事実を、韓国も日本も再認識すべきだと述べました。
そして、華夷秩序からの脱却と拒否こそが、各民族運動の本質であり、各民族がそれぞれの民族文化伝統に立ち返ること、それが今ほど必要な時期はない。実はこれは日本も同じで、日本は自分たちの文化、ソフトパワーにもっと自信を持つべきであって、例えば今世界的にヒットしているアニメ「鬼滅の刃」などで描かれているのは、まさに日本精神そのものであり、それが世界で普遍性を持ち得ていることを日本人自身が自覚すべきだと西村氏は述べました。
そして、日本に今求められているのは、明治以後の日本近代史の歴史認識を正しい形で確立することであり、アジアと日本との関係を、日本人がしっかり理解、咀嚼して世界に訴えていく必要がある。それが、今後日本とアジアが一体となって、中国だけではなく、世界を覆う新たな全体主義と立ち向かっていくための基盤となるはずだ、日本は自らの歴史と文化に覚醒することによって、アジアの民主化を主導していくことができるはずであり、中国が確実に崩壊に向かう中、アメリカだけに主導権を取らせるのではなく、日本こそがアジアの民主化と平和構築の先頭に立たねばならないと述べました。
続いて中野区議会議員で協議会副会長の吉田康一郎氏が登壇。自分は政治家として、民族自決権の重要さを常に認識している、民族は固有の国土、文化、主権を有しており、それぞれの民族の自己決定権は絶対に尊重されなければならない。自分はその考えで、これまで各民族の運動を支援してきたけれど、同時に今、日本にこそ民族精神が失われているという危機感も抱いている。今、高市政権が誕生した時だからこそ、日本人もまた自らの独立の意識を持つべきだと述べました。
続いて長尾敬元衆議院議員が登壇。高市政権の誕生を自分も喜んでいるが、まだ政権基盤は盤石ではなく、アジアの人権問題という難しいテーマに急に取り組むことを期待するのは酷な面もあると考えていたし、香港の運動家ともそんな話をしたこともある。しかし、今回の習近平との会談で、高市総理はウイグル、香港のことを語り、また台湾についても発言している。私たちは日本政府、永田町をもっと動かすためにも、本日江崎先生が説明してくれたハドソン研究所などにも民間から積極的にアプローチし、高市政権がさらに人権問題に取り組めるよう応援しようではないかと述べました。

 ここからは各アジア諸民族の訴えに移ります。この部分は、当日配布されこの報告にも添付されている各民族執筆の資料とともにお読みください。
 最初に登壇したチベットのチュイデンブン氏は、中国共産党は今も弾圧と虐殺をチベットで続けており、その一例として、高僧トゥルク・フンカルドルジェ師の例を挙げました。フンカルドルジェ師は1969年に青海省で生まれ、僧侶として様々な社会貢献にも努めてきた人ですが、2024年8月ごろから厳しい取り調べや迫害を受けてベトナムに避難、2025年3月25日、ベトナムで現地警察と中国の秘密工作員の協力で逮捕され、3月28日、ベトナムで死亡したという一方的な通告が、それもごく限られた範囲でしか伝えられていません(詳しくは資料参照)。チュイデンブン氏はこれは事実上の暗殺だと述べました。
そして「中華人民共和国民族団結進歩促進法案」が現在成立に向けて中国では検討中であり、これは各民族を弾圧し、漢民族への同化を強制するもので、この法律が制定されれば、国内にいようがいまいが関係なく、フンカルドルジェ師に対して行われたような犯罪が正当化される危険があるとチュイデンブン氏は強調しました。そしてアメリカ独立宣言を引用し、チベットも、モンゴルも、ウイグルも、自由と人権という当たり前の権利を要求しているに過ぎないと主張しました。
続いてウイグルのイリハム・マハムティ当協議会常任副会長が登壇。アメリカが一方的に自分たちの価値観を押し付け管理するような外交政策は、中東でみられるようにやはり問題がある。そして、中国で仮に習近平政権が倒れたとしても、また同じ独裁者が現れる可能性は高い。ソ連でのゴルバチョフのような、共産党を内部から民主的に改革できるような存在は。中華思想と大漢民族主義に根差している中国共産党からは表れにくいだろうと述べました。
その上で、中国政府が今行っているのは、我々国外にいるウイグル人をバラバラに分裂させることだ。この数年間、海外にいるウイグル人は本国と連絡も取れず帰ることもできなかったが、実は近年、中国はウイグル人の一部に故郷に一時戻ることを許可している。家族に会いたいという意識を利用して、一度でもひそかに故郷に戻ったウイグル人は、自分たち活動しているウイグル人団体とは関係を持てなくなってしまう。このように人間の弱点を利用し、飴と鞭で支配、分断するのが中国のやり方だとイリハム氏は述べました。
これに対抗するためにも、たとえば今日の集会で配布された資料にある各民族の実態や、先ほどの石平氏のYouTubeなどをどんどん皆さんは拡散してほしい、それが中国政府が一番嫌がることであり、私たちが進めなければならないことだと述べました。
続いて南モンゴルクリルタイのオルホノド・ダイチン氏が登壇。自分たちがなぜ内モンゴル自治区ではなく「南モンゴル」という名前にこだわるかを次のように説明しました。本来、モンゴル人は一体となって独立すべきだという考えと、もう一つ、今内モンゴル自治区という名前で決められてしまっている地域だけがモンゴル人が住んでいる地域ではないからだ。そして、南モンゴルは中華人民共和国建国の2年前から事実上中国の支配下に置かれてしまった。
私たちはこの10月9日、議員会館で南モンゴルがこの100年間独立を求めて戦ってきた歴史と未来について考えるシンポジウムを開催したが、モンゴルは中国の長い歴史の中、万里の長城をはさんでこれまでずっと中国の圧力に戦ってきたこと、これからも戦い続けることに変わりはないと述べました。そして、本日の江崎先生の講演を受けて、私たちも、まず、日本の優れたシンクタンクと接することから始め、計画性としっかりした方針をもって南モンゴルの運動に取り組んでいきたいと述べました。
続いて民主中国陣線の王戴氏が登壇。まず、本日一人の中国民主運動家として、各民族の方々に、中国共産党が行ってきた様々な弾圧と虐殺に対し謝罪したいと述べました。
その上で、中国政府が現在行っている国境を越えた弾圧の一例として、フランスに留学していた張雅笛が、7月31日に「扇動国家分裂罪」で拘束された事例を挙げるとともに、日本でも民主運動家が暴行を受けたり、ハッキングにさらされるような事態が起きているとのべました。それでも、中国共産党独裁下で国内で民主化運動はほとんどできないため、多くの人は外国に出て活動している、本日も、上海の独立を目指す運動家や、多くの仲間たちがこの会場に来ていると述べました。そして、国内でも重慶でこの前スローガンを電光掲示板に出した人がいるように、ひそかに戦い続けている人がいることも指摘しました。
さらに、中国政府は世界の独裁政権を支えており、また、様々な犯罪者集団とも関係を持っている、中国共産党はすでに人類のガンである、そして、中国人の負の遺産である大中華主義もまた同じで、この負の遺産は世界から除去されなければならない。そのためにも、中国民主化運動は、その前提として、チベットなど各民族の民族自決権と独立の権利を擁護しなければならない。自分がその精神に立って運動していることで、逆に民主運動家の中には自分を誹謗するものもいるが、中国の民主化なくして各民族の独立もあり得ないのだから、自分はこれからも各民族の人たちとともに運動していきたいと述べました。
続いて在日台湾同協会会長の王紹英氏が登壇。ヴィクトル・ユーゴーの「善が沈黙しているとき、悪が顔を出す」という言葉を引用し、まさに中国政府は、人類史上最も恐ろしい悪であり人類の敵である。台湾は独裁政権に対し1950年代から長い年月をかけて民主化を勝ち取ったが、その教訓は、独裁体制を民主化するためにはあきらめずに行動しかないという真理だった。そして、この民主国家台湾が、もしも中国に征服されたら、阿鼻叫喚の地獄、虐殺を目の当たりにすることになるだろう。台湾をはじめすべてのアジア人は、中国の侵略を防ぐためにも、日本が屈することなく中国と戦い続けることを期待していると述べました。
香港のアリック・リー氏は、本日別のイベントがあり参加できなかったため、司会の三浦が資料に収録されたリー氏の文章の一部を紹介しました。今、民主主義国家の中でも、様々な深い分断が生じ、お互いの対話ができない状態が起きており、それを専制国家は巧みに利用している、専制国家への抗議だけでなく、民主主義国家の中での民主主義の復興、分断の解決が必要だという内容でした。
続いてミャンマーのティン・ウィン氏が登壇。英語でスピーチをされましたが、内容は配布資料とほぼ同様のもので、現在のミャンマー軍事政権は完全に中国の傀儡政権となっている、日本政府がこの政権を支援することは、軍事政権の弾圧や各民族への迫害の共犯者となりかねない、安倍元首相が提起した、自由で開かれたアジア太平洋構想の実現のためにも、日本外交が道義と人権外交に根差してほしいと訴えました。
最後に、カンボジアの露木ピアラ氏が登壇。実は、11月9日はカンボジアの独立記念日であることから始め、長い戦争の後、カンボジアに平和が訪れたのはパリ和平協定と、それに基づく国際監視団による公正な選挙だった、カンボジアの選挙の中であの時が唯一公正な民主選挙であり、それ以後はフンセン・フンマネット政権は、常に野党の立候補を妨害する不正選挙を行ってきたと述べました。
そして、私たちはここ日本でカンボジア救国活動の会を結成して運動をしてきたが、今が最も弾圧が強い。設立時のリーダー、ハイワンナー氏は、弟が国内で不当逮捕され、おそらく脅迫によって運動を去り、今はフンマネット政権に利用されて事実上のプロパガンダにされてしまった。ほかにもカンボジア政府は、おそらく組織的に私たちのSNSに攻撃をかけ、運動の広報活動を妨害していると述べました。
そして、一人の青年を紹介し、彼のお父さんは8年前から投獄されていたが、彼がここ日本で運動をしたことで、獄中で暴力を振るわれ、ひどい重傷を負った。本来なら3か月は入院が必要なほどだったのに、わずか数日病院で治療されただけで獄に戻され、そこで亡くなった。このように、カンボジアは中国同様、国境を越えた弾圧を平然と行っていると述べました。
また、今、カンボジアで様々な詐欺グループが話題になっているが、最大の国際的な犯罪組織とみなされている「プリンス・グループ」で会長を務める陳志(チェン・ジー)は、2014年にカンボジアの国籍を取得し、実はフンセン。フンマネット政権と深くつながっている、噂だが、フンセンが彼を匿っているという話まであるとピアラ氏は指摘しました。
その上で、自分たち海外のカンボジア人たちは、10.25カンボジア独立政府という、亡命政府を今年10月25日(パリ協定締結の日を記念している)結成した、チベット亡命政府のやり方などを学び、これからもカンボジアのために活動していきたいと述べました。
各民族の発表を受けて、ペマ・ギャルポ会長が、本日、王戴氏が中国人として各民族に謝罪したことに深い敬意をささげたい、そして、これまでアジアの民主化に尽力してきたアメリカ政府が、残念ながら近年、ラジオ・フリー・アジアの予算を事実上停止するなど消極的な姿勢を示している。しかし今、ポーランドなど、かつて共産主義体制に苦しめられた国家が、ラジオ・フリー・アジアを復活させようという動きもある、本日はたくさんの皆さんが参加くださったことに深く感謝するし、自分たちもできる形で、アジアの民主化のための発信を続けていきたいと述べました。
その後、アジア自由民主連帯協議会の2025年度人権賞が、現在獄中にある、香港民主化を言論の場を作ることで支えたアップルデイリーのジミー・ライ氏に授与され、本日の決議文が古川郁絵事務局長によって朗読、拍手をもって承認されました。

第15回アジアの民主化を促進する東京集会決議文 
自由民主党が高市早苗新総裁を選出した直後の10月9日、衆議院第一議員会館にて国際フォーラム「南モンゴル自由・独立運動の歴史と展望」が開催された。このフォーラムに、高市新総裁は「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として「自由、法の支配、基本的人権、これらの普遍的価値は、日本国民のみならず、すべての人々が等しく享受すべきもの」であり「南モンゴルの方々が、自らの言葉と文化、誇りを守り、自由に生きる社会を実現できるよう、私たち日本も連帯し、支援の輪を広げていく決意です。」というメッセージを送った。
この普遍的な人権外交を訴えるメッセージに対し、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は10日の定例会見で「基本的な事実を無視し、中国の内政に干渉している」「人権問題を政治化、道具化し、それによって中国のイメージを傷つけ、中国の発展を遅らせようとする試みは、必ずや失敗に終わる」と直ちに抗議している。
しかし、ウイグル、チベット、南モンゴルなど、本来民族自決権を持つ各民族を事実上植民地支配下におき、虐殺と収容所体制、資源の収奪を行ってきたのが、1949年の中華人民共和国建国後の歴史である。しかも現在では、ウイグル、南モンゴル、チベットにおいて、各民族の母語を奪い、文化・伝統・信仰を断絶させようとする文化抹殺が進行中なのだ。香港は2020年に施行された国家安全法により、多数の民主化運動家が不当逮捕されて自由を奪われ、中国本土でも民主化運動や法輪功に対し、厳しい弾圧が加えられている。
 さらに中国政府は、国内における弾圧にとどまらず、国外で自由と人権を訴える民主運動家、各民族運動家たちにも、様々な脅迫や言論弾圧を行っている。いわゆる「国境を越えた弾圧」である。
 この中国政府の姿勢はアジアの他の独裁体制にも悪しき影響を与えており、カンボジア、ミャンマーなどにおいても同様の「国境を越えた弾圧」が拡大している。中国をはじめアジアの独裁体制が継続し、民主化がなされなければ、国際法および、自由、人権、民主主義、民族自決権といった、私たちが守るべき普遍的価値観は踏みにじられ、世界は全体主義に屈する危機が訪れるだろう。
 私たちはそのような未来を認めることはできない。本日、様々な立場から登壇した、アジアの民主主義を守り、促進し、各民族の民族自決権を守ろうとする人々と共に,私たちはこのアジアで、そして世界で、全体主義を断固否定し、自由民主主義の側に立って闘うことをここに誓う。
 2025年11月9日 第15回アジアの民主化を促進する東京集会参加者一同

 最後にイリハム・マハムティ常任副会長の閉会挨拶をもって、午後5時半、集会は閉会いたしました(文責:三浦)