【報告】第6回アジアの民主化を促進する東京集会

投稿日 :2016年12月7日

2016freeasia
10月16日、第6回アジアの民主化を促進する東京集会が、新橋の会議室にて開催されました。参加者は約50名。司会は当会の古川郁絵が務めました。

まず、基調講演は前衆議院議員の杉田水脈氏でした。以下はその講演録です。
 


 皆様、こんにちは。私が最近、このような場でお話しさせていただくテーマはだいたい国連の話です。いつもは90分ほどお時間をいただいて詳しくお話ししますが、今日は45分、半分ということですので、ここが一番脅威だなというところを皆さんにできるかぎりお伝えしていきたいと思っています。

 今日はアジアの民主化ということですが、アジアの民主化をしていかないといけないという中で、一番敵になっているところはどこでしょうか。はっきり言って中国です。その中国が、どういったところでどのような活動をしているのか。今日は、私たちの目になかなか見えないところのお話をしていきたいと思います。

 私は去年から、国連の女子差別撤廃委員会というところにずっと足を運んでいます。ジュネーブに3回とニューヨークに1回行ってきました。今日は日本人の方もたくさんいらっしゃいますが、国連っていったい何をしているところなのか、具体的に答えられる方、いらっしゃいますか。国連と言えば「社会」の教科書に出てきて、戦前は国際連盟、戦後は国際連合というものができて、そこは何かすごいことをしている。中立的な立場で紛争を抑えたり、いろいろな国を指導したり、日本人の中には、国連に言われたら有り難がって、ははーっと聞かなければいけない、何を言われても、わかりました、ちゃんとやりますと言わなければいけない感覚でいらっしゃる方がすごくたくさんいると思います。それなのに、何をやっているところかと聞くと、誰も答えられないという不思議な組織。私も行ってみるまで、偉そうなことを言いながらまったくわかりませんでした。

 国連って、ズバリ、何でしょうか。私たちは子供のころから「国際連合」と教えられていますが、あれははっきり言って誤訳です。国連はUnited Nationsです。では、United Nationsとは何かというと「連合国」です。連合国というのは前の大戦の戦勝国です。勝った国は5国。私は国連へ行ってスピーチをしますが、スピーチはこの5国の言葉でしかできません。アメリカ、イギリス、当時のソ連、中国、フランス。ですから、フランス語や中国語でスピーチはできますが、日本語でスピーチはできません。

 国連というところは先ほども申し上げましたようにUnited Nationsですが、ここの大きな使命は何か。戦勝国、戦争に勝った国は大変に優れた国。戦争に負けた国、例えば日本、ドイツは劣等国である。もう一つ、第2次世界大戦、あの大東亜戦争の後にできた国々、後進国や発展途上国と言われる国々も、国として一人前でないから、おれたちがちゃんと面倒を見てやろうという立場です。だから、国連からすれば戦勝国以外の国々に対して、それぞれの国の国民はいちおう善良な国民ですが、そこの国の政府が悪だから、変な戦争を仕掛けたり、いつまでたっても経済がよくならなかったり、人権が保障されていなかったりするから、われわれはその国民に代わってその国の政府に対していろいろめんどうを見てやろうという組織です。どこからその意見を聴くかというと、それぞれの国の国民です。国民から意見を吸い上げて、その吸い上げた意見に基づいてその国の政府にいろいろ勧告を行ったりアドバイスを行ったりする。これが大前提としての国連の役割です。

 私が行っていた女子差別撤廃委員会というのは、日本が1985年(昭和60年)に女子差別撤廃条約を結んでから出ることになりました。世界中の国々には女性の人権が確立されていない国はまだたくさんあります。ひどい女性差別の国もたくさんあります。イスラム教の国にも、私たちが理解し難いような女性差別があります。何年か前にノーベル平和賞を受けたマララさんという17歳の少女は、女性にも教育を受けさせてくれと言っただけで銃撃を受けました。そういう国の、例えば女性も人権がほしいとか、教育を受けさせてほしいと国民は政府に直接言えません。だから、このような人たちの意見を国連が吸い上げて、あなたの国も女性に対してちゃんと教育しなさいとか、選挙権を与えなさいと勧告する。このように説明すればわかりやすいかなと思います。

 国民が直接言うといっても、これらの国の国民は貧しかったりするので、どこが出ていって国連で話をしているかというと、NGOです。それぞれの国のNGOが国連に出かけていく。国連はその意見を聴きながら政府に対して勧告する。政府はその勧告に対して、今度からうちの国はこうします、ああしますと報告する。このようなシステムになっています。

 私が行かせていただいた女子差別撤廃委員会についてお話ししますと、ここでは非常にナンセンスなことが繰り広げられています。皆さん、日本において命にかかわるような女性差別を感じたことはあります。先ほどお話しした教育について言えば、今、高校の進学率は男性より女性のほうが上回っています。このような状態ですから、教育について男女差別はほぼないと言えます。それと今、日本人の女性で、生まれ変わるとしたらもう1回女性に生まれたいという人が7割から8割います。日本の社会において女性のほうが男性より生きやすいかと質問しますと、女性の6、7割の方はそうだと答えます。男性はその半分以下だそうです。こんな国で重大な女性差別が存在するとは私はとても思えないのですが、びっくりしました。

 私はいちおうNGOの一員として行きましたが、ほかのNGOが国連に何を言っていたか。ないこと、ないことを言っていたのです。夫婦別姓ができないのは女性差別である。日本には家父長制という古い制度が残っていて家庭の中で女性は奴隷同然に扱われている、人権がない。日本には琉球民族、アイヌ民族、在日、部落というマイノリティがいて、この人たちは日本社会においていすごく差別され、特に女性はひどい差別に遭っているということをNGOは国連にずっと言っているわけです。それに対して国連は、そうか、そうかと聞いて、今度は日本の政府に対して、それを改めなさいと言っているわけです。

 私はなぜここに行ったのか。私が政治家のころからずっと取り組んでいる慰安婦問題に関して、国連から政府に対して、日本は第2次世界大戦中に朝鮮半島から20万人もの女性を強制連行して性奴隷にしてひどいことをやったが、謝っていない、お金を払っていない、ちゃんと謝罪しなさいとずっと言われていたわけです。だから、それに反論しようと思って行きまして、強制連行なんていうものは存在しないと私は言いました。
 今まで政府はそのように言われてどのように回答していたのか。「日本は謝っています。歴代の首相は直筆でお詫びの手紙を書いています。アジア女性基金をつくって1人あたり200万円ずつ補償しています。今後21世紀はそういった女性の人権が踏みにじられることのないように日本は努力します」と答えていました。そこで強制連行はなかったとか、性奴隷ではなかったとか言っていません。そのようなやりとりがずっとなされてきていたのです。

 ここから先は普通だったら、去年どういう攻防戦があって、外務省とどういう闘いがあって、最終的にどうなったかということを延々としゃべるのですが、今日は時間がないのでそのあたりは割愛させていただきます。

 南京大虐殺がユネスコの記憶遺産に登録されました。記憶に新しいと思います。ユネスコは国連の教育機関と呼ばれています。南京大虐殺が登録されました。当然、申請した国は中国です。中国は南京大虐殺と一緒に慰安婦問題も、2年前にユネスコに申請していました。南京大虐殺は記憶遺産に登録されたけれど、慰安婦問題は突き返されました。その時に中国はユネスコから、「今度この慰安婦問題を持ってくる時は1国で出さずに、複数の国と一緒に持ってきなさいとい」うアドバイスを受けています。なぜこのようなことになっていると思いますか。
 もう1点、そもそも南京大虐殺はなぜユネスコの記憶遺産に登録されたのか。だって、南京大虐殺ってうそばっかりでしょう。そのようなうその遺産が、歴史的な史料とともになぜユネスコの記憶遺産に登録されたのでしょうか。わからないのです。

 ユネスコの記憶遺産とはどういう事業なのか。この「記憶遺産」というのもこれまた外務省の誤訳です。記憶遺産と言われると日本人は世界遺産みたいに思ってしまって、ありがたくて、ものすごく権威のあるものだと思って、ははーっとなってしまいますが、ユネスコからしてみれば記憶事業ぐらいのことです。わざわざ記憶遺産と訳しているけれど、私はこれも誤訳ではないかと思っています。

 記憶遺産というのは、歴史的な史料に誰でもいつでもアクセスできて、みんなでいろいろ見聞を広めましょうというのが目的です。でも、中国はユネスコに対して南京大虐殺の史料は1点も提出していません。皆さん、ご存じでしたか。何を提出したかというと、目録のみです。だから、もしも日本がその史料を見て、この写真はうそですよとか、逆の写真ですよとか反論しようにも、史料を提出していないので、できない。それなのに登録されてしまったのです。

 このユネスコはどういうシステムになっているのか。ユネスコの事務局長がいます。誰かご存じですか。ブルガリア人のイリナ・ボコヴァさんという女性です。イナリ・ボコヴァさんという方は家族ぐるみの、バリバリの共産党員です。これはもうはっきりしています、公表されています。イリナ・ボコヴァさんはバリバリの共産党員です。このボコヴァさんという女性は次、何になりたいか。この方は今ユネスコの事務局長をやっていますが、次は国連の事務総長をやりたい。今、韓国の潘基文さんがやっていますよね。あの後の事務総長になりたい。もう立候補されました。

 立候補すると、選挙が行われます。選挙権を持っているのは当然、常任理事国ですから、どこか大きな国の後ろ楯がほしい。彼女はどこに目をつけたかというと、中国です。去年、中国で戦勝70周年パレードというのが行われました。当時、中国という国はなかったし、中国共産党が勝ったわけでもないのに、戦勝70周年パレードっていったい何なのかと私は思いました。そう思っている方が多いと思いますが。その戦勝70周年パレードに彼女は行っています。そして習近平さんや奥さんと家族ぐるみで話をしています。そういう背景があるのです。私たちはただ新聞で、南京大虐殺がユネスコの記憶遺産に登録されました、なぜなのかということしか知らされていませんが、バックを一つひとつ見ていくといろいろな事情があるわけです。

 もっと言いますと、ユネスコの記憶遺産に登録するにあたり、14人の委員がいて、その人たちが史料を精査して登録するかどうかを決めます。この14人の選出も普通だったら、例えばユネスコ委員になるとか国連の委員になるとか、その国から推薦があってという形をやっていかないといけないですが、この14人はボコヴァさんの独断で選べるのです。今はそういうシステムです。この14人の中に歴史の専門家はいません。史料を精査する専門家、日本でいうと図書館司書みたいな人たちが14人集まってやっています。

 それから、南京大虐殺などはまさしくそうですが、このような国の利害が対立する問題についても一方的に、例えば中国の申請だけでいい。ここで日本の意見も聴いてみようということにはならない。このように非常に不備がある。私は日本という国は本当に公平な社会だと思っています。おかしいことはおかしい、両方の意見をちゃんと聴こうということがわりとちゃんと担保されている国だと思いまが、われわれ日本人の感覚からしてみれば非常におかしなところがある。しかし、日本人はユネスコとか国連について、権威があって、まさかそんなことをしているとはこれっぽっちも思っていない。でも、私利私欲で動かされてしまっているのがこの国際機関であるということを、私は去年行ってみて本当によくわかりました。行くまでは、私も皆さんと同じでした。国連が何をやっているかなどわかりませんでした。

 もう一つ言うと、国連やユネスコで働いている人たちは自分たちでは何も考えません。先ほども言いましたが、日本のNGOがないこと、ないことを言っているわけです。ちょっと調べれば、そんなのおかしいということはわかる。慰安婦問題も、20万人を強制連行して性奴隷にしたなど、今ごく一部の共産党員や極左の人たち以外に日本では誰も信じている人はいません。ちょっと調べれば、そんなことわかりますが、そういうことをまったく調べない。ここに言われたとおりのことを、ここに言っているだけです。この人たちは考えないし、調べない人たちなんだということがよくわかりました。

 ユネスコも同じです。だって南京大虐殺など、ちょっと調べれば、そんなのおかしいとわかります。私は去年、ベトナムに行きまして、ベトナム戦争当時の韓国軍の蛮行のあった村をいろいろ訪ねました。どこの村にも慰霊碑が建っています。その慰霊碑には亡くなった方のお名前などが全部刻まれています。何歳で亡くなった、性別は男性だった、女性だったと全部刻まれています。それぞれの村に行けば、そういう慰霊碑があります。

 私たちだって例えば広島の原爆で亡くなった人たちは、慰霊碑に一人ひとり名前が刻まれます。最後の一人まで刻まれる。震災などでもそうです。私も阪神・淡路大震災を経験しましたが、そこに行けば、それぞれの市がそこで亡くなった人の最後の一人まで名前をしっかり調べて慰霊碑に刻みます。南京大虐殺、30万人分の名前がありますか。どこにもありません。そんなことを考えても本当におかしい。逆にいえば、そんな不確かな情報で登録しているとユネスコが笑われますというレベルの問題ですが、とにかく彼らは何も調べない、自分たちでものを考えない。そういう人たちの集まりなんだなということがよくわかりました。

 今回、南京大虐殺は登録されてしまいましたが、もう一つの慰安婦問題はどうなっているのか。実は今年5月31日がユネスコの記憶遺産の締め切りでした。今回また慰安婦問題が申請されました。登録するかどうか、今ユネスコで精査しているところです。今回、中国はユネスコの言いつけをちゃんと守りまして、1国ではなくて8カ国で出しました。中国、韓国、地域で言えば東ティモールも入っていますし、フィリピン、インドネシアも入っています。

 私が非常に問題だなと思っていることがあります。先ほども申し上げましたように、これまでも慰安婦問題についてはうそがたくさん流布されています。朝鮮半島から20万人の女性が強制連行されて性奴隷にされた。私はアメリカに行きまして慰安婦像も見ましたが、その横の説明文にも全部そのように書いてあります。今度、ユネスコに登録されようとしているのは、朝鮮半島から20万人、中国大陸から20万人、その他の地域から1万人から2万人。全部で41万人の慰安婦が強制連行されて、性奴隷にされて、最後は殺された。もしこれをユネスコが認めてしまうと今度はこれが通説になってしまいます。

 今『Chinese Comfort women』という本がアメリカでベストセラーになっています。朝鮮半島から20万人行ったというのは当然、あたりまえ。中国大陸からも20万人、強制連行されたと。今アメリカで、私は中国人慰安婦でしたという告白本が売れています。彼らはそういうプロパガンダはとてもうまいですから。このようなことがなされているのが現状です。

 調べているうちに、最近になってもっとショッキングなことがわかってきました。今回ユネスコに登録を目指して働きかけたのは8カ国ですが、この中心になってまとめているのはどこの国だと思いますか。主導権を握っているのはどこの国か。中国がこの間やろうとして、だめだった。ユネスコからわざわざアドバイスを受けて、今度は8カ国を集めて出したから当然中国が主導権を握っていると思っていましたが、違いました。中国はあまり動いていない。では韓国かなと思いましたが、韓国は日韓合意以降、意外とおとなしくなってしまっていて韓国も主導権を握っていない。どこがこの8カ国の主導権を握って一生懸命ユネスコに登録しようとしているのか。日本です。日本人の団体が主導権を握って、一生懸命ユネスコにこの問題を登録しようとしています。

 西早稲田2の3の18というところに反日のいろいろな団体が集まっているキリスト教系のAVACOというビルがあります。その中に「女たちの戦争と平和資料館」というのがありまして、運営しているのはwamという団体です。そこがどうやら主導権を握ってやっているみたいです。私はこの間、そこへ行ってきました。今日、後ろで本の販売のお手伝いをしてくれている、つかさちゃんと2人で行ってきました。本当にひどいところでした。そこが主導権を握ってやっている。そこがユネスコに提出しているのはほとんどイラストです。慰安婦さんの描いた絵です。慰安婦の人たちがこんな絵を描きましたと。桜の木の下にいっぱい頭蓋骨が埋まっていて裸の女の人が泣いているイラストとか、そういうのが登録されようとしています。絵です。どこに歴史的価値があるのかと思いますが、それを記憶遺産として登録しようとしています。

 1枚、許せないのは、昭和天皇と見られる男性が目隠しをされて、木に縛りつけられて、今にもそちらを銃殺しようとする銃口がいくつも向けられているというイラストです。これもユネスコに資料として提出されていますが、このイラストは何か。2000年に女性国際戦犯法廷というものが開かれました。先ほどのwamという団体が開いた疑似法廷です。裁判の真似事みたいなものです。慰安婦のおばあちゃんたちが出てきて、証言して、日本軍が悪いと。誰が悪いんだということで9名の戦犯を、この人たちが悪いんだと決めつけた裁判があります。最高責任者は昭和天皇となっています。東條英機閣下など9名が戦犯となっています。この間、ソウルで慰安婦像を撤去しないと決議した、条例を作ると言ったソウル市長がいますが、2000年の時の女性国際戦犯法廷に韓国の検事役で出ていたのが今のソウルの市長です。このように人脈は全部つながっているわけです。

 このようなことが行われている中で、中国、韓国がいてということになりますが、そういうところにはお金がいろいろ入り込んでいる。どこから入り込んでいるのだろうか。なぜそういうところが運営できているのだろうかというところに疑問を持っています。ここから先はわれわれがしっかり調べ上げていかなければいけませんが、いったいどこから資金が入ってきているのか。なぜ彼らはそういう活動ができるのか。

 皆さんも西早稲田に1回行ってみてください。たぶん気持ち悪くなると思います。来年にはその資料館は、もっと大きくて広いところに引っ越すそうです。立派な資料もいっぱい売っていて、学校の教科書のような、全部カラー刷りのものを売っています。そういう資料も私は全部買って帰ってきましたが、その中に一つあったのが中国の慰安婦の問題のカラーの資料です。日本軍が攻めてきてと、戦時中の性暴力の話と中国の慰安婦の問題と何でもかんでもごっちゃになっていました。ですから、先ほどの中国大陸からも慰安婦20万人という問題に火をつけているのも日本人です。最近は何かと全部一緒につなげて議論しようとして、沖縄の問題も入っていました。沖縄に米軍基地があることによって婦女暴行があったりという問題と、慰安婦問題を同じ次元でまとめている資料もありました。そういったこともやっています。

 有力なバックからお金が出ていないと、とてもじゃないけれど、そんなすごい資料とか、1枚何万円もするようなパネルを作ったりできるだろうか。人もたくさんいますが、その人件費はどこから出ているのか。それと、先ほど言った沖縄の問題ですね。私自身も沖縄には何度も足を運んでいますが、あの基地の反対派の中には、日当をもらって日がな一日、歌って踊ってお弁当を食べている人たちが何十人もいるわけです。このお金はどこから出ているのか。私自身は公務員をやっていましたから、労働組合、組合費、動員の仕組みなど全部わかっています。でも、それだけではないだろうと思うところが非常にあります。

 6月に河添恵子先生と一緒に『「歴史戦」はオンナの闘い』という本を出しました。今日本当は来たかったのですが、お忙しくて来られないとのことです。この中にそういったことをふんだんに書いています。女同士の対談本なので、タブーなく書いています。ここまで書いたら帰り道、気をつけなければいけないかなと思うぐらいまで書いています。河添先生は皆さんご存じのとおり中国の専門家です。英語と中国語を駆使して、ふだん私たちが見られないような資料、例えば中国での報道、アメリカでの報道、そのような資料を全部読み解いていろいろ書いておられるノンフィクション作家です。その河添先生の今までの研究と、私が実際に国連に足を運んで見聞きしてきたこと、それと私自身が地方公務員として働いている中で、例えば日本共産党、コミンテルン日本支部がどういう形でそういったところに入り込んでいって活動しているのかということが全部、2人で対談していくうちに、バラバラだったいろいろなことが一本の線につながっていくようなことがわかってきました。

 国連の問題もそうです。先ほど言った女子差別撤廃委員会ではいろいろなことが言われています。国連からいろいろな注文を受けています。これらは全部、日本を弱体化することです。例えば、夫婦別姓にできないのは女性差別だと。夫婦別姓を導入したらどうなりますか。家族が崩壊します。それとLGBTの問題も国連から言われています。LGBTってご存じですか。Lはレズ、Gはゲイ、Bはバイセクシャル、Tはトランスジェンダー、性同一性障害です。そういう人たちの支援策として、私の住んでいる宝塚でも、今年6月から結婚と同等だと認めるということを始めました。地方自治からそういうことが進んでいますが、将来的にどうするんですか。同性婚を認めるのか。これもじわじわと日本の中を蝕んできています。女子差別撤廃条約を基にできた男女共同参画社会基本法で、子供たちに男の子らしくしなさいとか、女の子らしくしなさいと言ってはだめなんです。そのようなことも、じわじわやってきています。すべてが日本の弱体化です。

 皆さん、思い出してください。今年の春ぐらいに「保育所落ちた、日本死ね」というブログが話題になりましたが、私は根本的に間違っていると思っています。私は行政マンをやっていましたから、子育てのこともやっていましたし、保育所のこともやっていました。保育所というのは福祉の施策です。福祉の施策と普通の施策の違いは何かわかりますか。福祉は何のためにあるのでしょうか。福祉というのは、普通の暮らしを営めない人のためにあるのです。だから、障害を持った人のための福祉があったり、低所得者の人のための福祉があったりするわけです。普通の生活ができない人の分を、みんなの税金で何とか支援してあげるというのが福祉施策です。保育所というのは福祉施策です。ということは、どうしても働かなければいけないとか、片親だからどうしてもお金が足りないとか、保育に欠ける子供をみんなの税金をもって支援するというのが保育施策です。

 でも、あの「保育所落ちた、日本死ね」と言っている人たちをはじめ、今回もまた待機児童のことを国会に持ち出して質問していた山尾さんという議員さんがいらっしゃいますが、根本的に間違っているのが、「誰でも利用できるサービスぐらいにしか考えていない。」ということです。そこが違います。福祉ということで皆さんの税金をつぎ込んで支援するからには、理由がいります。誰でもが好きなようにもらえるサービスではないわけです。そこを間違えると、この問題は根本的に見誤ります。このような話を本当はテレビでさせていただきたいのですが、テレビ局から私になかなか声がかからないので、テレビに出たらコメンテーターでこういう話をいくらでもしようと思っています。そこを見誤っています。

 その行き着く先として、保育所の義務化とか言われています。働いていようが、働いてなかろうが、誰もが保育所に預けられる日本にしようと言っています。これを初めて聞いた時、子育てをやったことのない人が言っているのかと思いました。保育所に預けるのは、お母さんがどれだけ辛いか。わかっていないのではないかと思いました。でも、この保育所義務化というのは、旧ソ連がやろうとして失敗した施策を日本で今やろうということです。

 このようにいろいろつながってくるわけですが、冷戦が終わってソ連が崩壊して、コミンテルンがなくなったので、そういう勢力は息をひそめたと思っていませんか。でも、実はこの人たちがたくましく生き続けているのが日本です。私と河添先生は、日本を弱体化させようとする反日日本人のバックにいるのは中国ではないかと見ています。私たちはそれを今、コミンテルンではなくて「ペキンテルン」と呼んでいます(笑)。ペキンテルンは日本を弱体化して、その目的の先には、やはり日本を属国化したいと思っている。沖縄問題しかり、そこからやっていこう。今皆さんが闘っていらっしゃるチベットやウイグルなどの状態がそこまで来ていて、私はすごい危機感を持っています。

 この間も中国の軍艦が日本の領海に来ました。接続水域だと言っていたら、その何日か後にはいきなり領海まで来た。怖くて仕方がない。もしかしたら近い将来、通州事件みたいな事件が日本の本土でも起こるぐらいのではないかというぐらいの危機感です。どこに逃げたらいいのか。日本より安全な場所はない。この危機感が、日本の人たちに全然伝わっていません。中国の軍艦がここまで来たというのはすごいことです。取る気、満々で来ているわけです。それ以外に何をしに来るんですか。もしかしたらアメリカ大統領選の混乱に乗じてとか、年末年始に解散があるとか言われていますが、いろいろな混乱に乗じて中国が尖閣に上陸したらどうするのか。今のまま、憲法改正もできないままで手も足も出せなかったら、そこはまず取られてしまうでしょう。次はどこへ行きますか。たぶん沖縄に来るでしょう。そういうことが目に見えているのに、怖いなと思っている日本国民はたぶん1%もいないと思います。あとの99%はそんなこと、まったく気にしていない。私はそこが一番怖いと思っています。

 マスコミもこれについては一切報じていません。中国の軍艦が来たことよりも芸能人が不倫したとかいうことがテレビではたくさん取り上げられて、日本人はそういうニュースを喜んで見ている。私はそのあたりを何とか変えていきたいと思っています。河添先生からも、アジアの民主化を進めていかないといけないのに、逆に日本からコミンテルン化が進んでしまっている現状をどうか皆さんに訴えてきてください、1人でも多くの人に危機感を持ってもらってくださいと言われてきました。

 この本を1冊読んでいただけると、皆さん、目が覚めてくださるのかなと。女性だからここまで言えるということもたくさん書いています。今日は20冊持ってきています。1700円で販売させていただいています。興味を持ってくださった方はぜひ読んでいただきたい。私がしゃべり足りなかったこともふんだんに書いています。先ほどの保育所についても、私が公務員時代に実際に見聞きしたこと、囲い込み保育をやって子供たちを真っ赤な戦士に育て上げるみたいな教育をやっている学童保育があった話とか、日本は実際ここまで来ているという実例を、私が自分の目で見て体験したことを書いています。そのあたりを皆さんに見ていただけたらと思います。

 国連というのはこのようなシステムですから、全然中立なんかではないです。ユネスコも個人の人たちの思惑で動いています。その中にスポッと陥れられているのが、ばか正直な国・日本です。国連から勧告を受けても、ほかの国は「ヘッ」というようなもので何もやらないそうです。日本は勧告が来たら、こんな分厚い報告書を作って提出したうえに、対日審査だということになったら政府が代表団を組んで、いろいろな省庁の代表の人たちがちゃんとジュネーブまで出ていって委員と受け答えをしています。ここまで真面目にやっている国は、日本だけのようです。

 女子差別撤廃委員会が今年3月9日に最終見解を出しました。その中で日本の皇室典範について触れてきました。男系でつないできている日本の皇室は女性差別だと言ってきています。これを言ったのが中国の委員だということはもう明らかになっています。この中国の委員というのは、ゾウさんという方で、中国共産党の女性幹部の中のトップクラスの方です。この人が国連で日本の皇室のことに触れてきた。これも全部つながっているのです。

 女子差別撤廃委員会の委員長は今、日本人です。日本人の林陽子さんという女性の弁護士がやっています。この人は慰安婦は性奴隷だということを世界中に広めた弁護士の一人です。このような人選がなされている。その人を日本の代表として国連に送り込んでいるのは外務省です。ですから、この問題は根が深いですし、範囲も広いです。一番蝕まれているのは日本である。そのことを私たちが知ることで、ちょっとでも前進していかなければいけないし、このことをみんながもっと疑問に思わないと前に進んでいかないのではないかと思って、私はこの問題について皆さんの前で一生懸命お話しさせていただいています。

基調講演を行った前衆議院議員の杉田水脈先生

基調講演を行った前衆議院議員の杉田水脈先生


続いて第二部、「アジアの民主化と日本の役割について」は、台湾の王明理さん。ウイグルのイリハム・マハムティさん。南モンゴルのオルホノド・ダイチンさん。チベットのチュイ・デンブンさん。ベトナムのアウン・ミン・ユンさん。バングラデシュのプロヴィール・ビカシュ・シャーカーさん。中国民主化運動の王戴さんが登壇。当会会長ペマ・ギャルポがコーデイネーターとしてシンポジウム形式で行われました。ここからは、各自の発言の文字おこしをそのまま掲載いたします。

 ペマ(司会) 第2部に入る前に、今日はお客さんが1人見えていますのでご紹介したいと思います。少なくとも一部のウイグル人の間で、いずれ自分たちで国を造ろうと思っている人たちによって選ばれた、ウイグル人の自由意思で選ばれた大統領、アメフットジャン・オスマンさんです。いずれ正式な大統領になることもあるでしょう。かつては毛沢東もただのテロリストだったけれど、国を造れば大統領、国家首席になれるわけですので、そういう歴史になる人物を紹介しました。
 今日は杉田先生が本当にいい話をしてくださいました。改めてお礼を申し上げます。同時に、かつて国会で私たちの問題について質問してくださいました。その勇気に対して、私はこの場を借りて改めて心から敬意を表したいと思います。
 それでは、座っている順番ではなくて、私が好き勝手に順番を決めて皆様に話をしてもらいたいと思います。今日の共通のテーマは「アジアの民主化と日本の役割について」ということですから、なるべくそれに関連して自分たちの民族問題の観点から、日本に何を求め、何を期待するかということを1人3分ぐらいで話をしてもらいたいと思います。最初に、まずイリハムさんからお話をしていただきたいと思います。

 イリハム・マハムテイ 皆さんこんにちは。今日は非常にいい集会だったと考えています。私の見たところ、この会場のほとんどの方がこういう集会は初めて、あるいは別のいろいろな集会がありますが、連帯協議会の集会に初めて来られている方がたくさんいる。私はそこだけでうれしいです。人がいっぱいいても、いつも同じ人が同じ話を聞いてもしょうがない。伝える人も同じ人になって、これではあまり広がっていきません。新しい顔が見えていれば、新しい方がこの現実をわかってくれることになりますので、私たちもうれしいです。

 本当の話をすると、日本の皆さんより第三者の立場の私たちのほうが焦っています。日本人は焦るということ、こんな危機があること自体を知らない人がほとんどです。そこで私たちは焦っています。なぜならば覇権主義の帝国、共産主義者の帝国が台頭している。こちらにいる方のほとんどは彼らのやり方を知っています。ですから、私たちは焦っています。
 日本では近年、中国と商売をやってもうけるという話で、経済界の力で政府も中国に対してきちんと話をできないことが多いと思います。私たちはいつも政府を批判しますが、その政府がうかがっているのは経済界、金持ちの顔だと思います。そのお金がないと、金持ちの応援がないと、自分が次の選挙で落ちるのではないかという心配が多い。ですから彼らの考えることは、経済界の人間の利益が第一。そんなことで自分の国をだんだん失ってしまったら、もうけたお金で自分の国を買い戻すことは絶対にできません。

 そこで日本の皆さんに再び言いたいのは、もっと広めてほしい。私たちにそういう機会をもっと与えてほしい。私たちはたくさんの人たちに、本当にあった話を伝えたい。日本人がほかと戦争する、けんかするのではなくて、自分を守る思想を持ってほしいというのが私たちの願いです。私たちの真実をもっともっと知ってくれたら、日本の皆さんも、この国が今失っているものを何かわかると思います。私たちが再び独立したら、私たちの国が日本のために絶対必要という考え方になってくれれば、自然に日本国民からわれわれへの応援ができて、私たちも自分の目標を達成する時間が早くなることは間違いありません。私たちはともに悪から、世界のガンから自分を守ることになります。その面で日本政府も日本国民も各団体も、ぜひ考えていただきたいと思います。

 ペマ 皆さんご存じのようにイリハムさんは、日本において一番初めに自分たちの国の問題について前に出て、自分の顔を出して勇気を持って話した人です。
 次に、私にとってはほぼ同じ時期、1970年代から日本において自国の問題、共産主義の問題などを訴えてきたベトナムのアウン・ミン・ユンさんにお願いします。

 ユン ベトナムのユンと申します。皆さんご承知のように、今ベトナムでは共産党一党独裁によって支配されて、人権、自由、民主がまったくありません。どの国でも共産党が政権をとると、人権と報道の自由はありません。今のベトナムでは、たくさんの政治犯が刑務所に入れられて強制労働をさせられています。このことを皆さんはご存じでしょうか。毎年アムネスティ・インターナショナルが、世界人権宣言に違反するベトナム共産党を繰り返し批判して、1日も早く政治犯を釈放するように求めていますが、ベトナム共産党政権は聞く耳を持っていません。

 ベトナムの人権、自由、民主問題だけではなく、環境の崩壊と中国のベトナム侵略の問題もあります。今年4月末ごろ、ベトナムの中国寄りの海岸で魚が大量に死にました。この原因は中国企業の排水です。怖いから魚を食べられない。日本の方も体験された水俣病の怖さが、今ベトナムで再現されています。汚染された魚の一部は日本へ輸出されていますから、日本の食材用もきっとあると思います。ベトナムの環境を守るため全国で、中国企業はベトナムから出て行けのデモが広がっています。今月の2日、2万人がデモをしました。政府は流したいけれど、デモに参加する人数が多いので流したくてもできません。

 そしてベトナムの領海・領土の問題もあります。領海、領土が中国に侵略されても、ベトナム政府は何も抵抗していません。しかし、ベトナム国民は戦います。ベトナムは小さな国ですが、中国と戦うとしても絶対に負けません。そういう精神を持たないと自分の国は守れません。だから、私たちは南シナ海、東シナ海の平和と領土を守るために最後まで闘います。よろしくお願いします。

 ペマ アウン・ミン・ユンさんの話にもありましたように、アジアにおいてはまだまだ当局によって、自分たちの意思に反する人を政治犯として刑務所に送り、その人たちの政治生命だけではなくて、場合によっては本当に命まで奪ってしまうような現状があります。それともう一つ、闘いというお話がありました。自分たちの自由を守るために闘うことが必要だと。ベトナムは外国の支配を1000年以上受けたにもかかわらず独立を勝ち取りました。最近も、鄧小平がベトナムに一つの教訓を与えることが逆に教訓を受けるようなことになった。そのベトナムの闘う精神には、私たちの学ぶべきものがあると思います。
 現在も南シナ海問題等についてベトナムは国家としては立派に対応していると思います。ただ、国内では、彼が訴えたように、まだまだ私たちが日本とか世界に訴えなければならない民主主義の度合いについての問題がたくさんあると思います。今後ともよろしくお願いします。

 次は王さんにお願いします。日本ではよく中華思想は共産党だけがやっているようなことを言うけれど、そうではなくて、他の国を奪って、その人たちの権利、先にそこを所有していた人たちの権利を奪っている。毛沢東は時間があったから7000万人殺したけれども、蒋介石も3000万人殺していることを忘れてはならないと思います。共産主義だけの問題ではなくて中華思想、そして彼らのDNAの中に何があるかということも含めて、日本において長い間、台湾の問題をやってきた団体が台湾独立建国連盟です。今は王さんが代表をやっています。私と同様、自分の国に帰れない時代から、その先輩たちにはいろいろお世話になりました。その仲間を代表してお話をお願いします。

 王明理 皆様、こんにちは。台湾独立建国連盟日本本部委員長をしている王明理といいます。ここにいる7カ国、8カ国の私たちの共通点は、中国人に弾圧されてきた、今現在も弾圧されていること。そしてもう一つ、日本という国で自由に活動を許されている。このことが共通点だと思います。うちの組織ができたのは1960年ですが、その前ぐらいから先輩たちが台湾独立運動をやってきて、自分の国で発言できないことを日本では許されて、ずっと我慢して、臥薪嘗胆、やり続けてきました。その結果、今年やっと台湾人が政権を取り戻しました。総統が台湾人になりました。それから、国会でも大多数が台湾人の議員になったことで、やっと台湾人の手に政治を取り戻すことができた。長年の夢がかなったのが今年です。

 また、日本のジャーナリストはなかなか伝えないのですが、これにはもう一つの意味があります。台湾は、一党独裁という国民にとっては打破できないように思える形態から民主化に移行することができた。これは大変に歴史的な意味のあることだと思います。ですから、今弾圧されているアジアの国々、ここにいるみんなも希望を持って続けていってほしいと思います。
 実は台湾にもまだまだのところがあります。この間、10月10日、私も台湾にいました。中国のいわゆる国慶節ですね。私たちは滑稽なので「滑稽節」と言っていますが(笑)、その日にたまたま当たってしまいました。台北市内は全部、国民党の党旗が道にずらっと並べられていました。蔡英文総統は今まで国慶節に呼ばれてもいつも拒否して1回も出たことがなかったのですが、今年は総統になってしまったので矛盾を抱えながら出席しました。本来ならば台湾人の手に政治を取り戻す、イコール中華民国、国民党からの独立だったわけですから、目的を達成したのにもかかわらず、蔡英文さんは今現在は中華民国体制がありますということを言わなければいけない。なぜかというと中国共産党が台湾を狙っているから。自分たちは中国とは違いますということを言うために、今は中華民国というフレームを使わざるをえない。そういうところに非常な苦しさを抱えて、まだまだ闘いの道は続いているわけです。

 私たちの組織は、中華民国から台湾に国名を変えること、それから日本と同じですが、憲法を変えたい。それから、国として認められて国連に入りたい。この三つを目標にまだ闘っています。日本にはぜひアジアの国々を応援していただきたい。ひとごとみたいではなくて、自分の痛みとして感じて応援していただきたいと思っています。

 ペマ 今回の台湾の人々の意思の勝利に対して、日本政府はそんなに応援しなかったかもしれませんが、多くの日本人が彼らを応援してきたことも事実です。私は1960年代後半から、台湾の先輩たちにいろいろなことでお世話になりました。また、日本の多くの心ある人たちが今日まで応援したことが今、夢がちょっと見えてきたところまで来ているということだろうと思います。今後他の国々も同じように、日本の人々が応援すれば、いずれ夢がかなえられることもあるのではないかと思います。
 次にモンゴルのダイチンさん、お願いします。毎回こういう活動があるたびに、彼は名古屋からバスで一生懸命参加してきています。彼もイリハムさんに続いて日本の社会に、表に出てモンゴルの人たちの現状を訴えています。ダイチンさん、お願いします。

 オルホノド・ダイチン モンゴルのダイチンです。モンゴル人ですが、その上に「南」と付けて、私は南モンゴル人です。普通にモンゴル人というと誤解されることがありますので。今モンゴル国の首相が日本を訪問中ですが、あの国の人がなぜこういうところでこんな話をするのかと誤解される方がいらっしゃるかもしれません。私は南モンゴル人ですが、南モンゴルを一番わかりやすく説明するとしたら、中国に侵略された南半分のモンゴルが、南モンゴルです。私はそこのモンゴル人です。これについて3分で説明するというのはなかなかできませんが、われわれは中国に侵略されてから六十数年たちます。長い歴史の中では六十数年というのは短いけれど、この六十数年間に南モンゴルはどのように変化したかということを与えられた短い時間で説明したいと思います。

 南モンゴル、内モンゴル自治政府ができたのは中華人民共和国ができる2年前、1947年です。最初は独立を認められました。その前にモンゴルと合併しようという動きもありましたが、それができなくて最終的に中華人民共和国の一つの自治区になりました。最初、中華人民共和国はモンゴル人に何を約束したか。30年代あたりからモンゴル人は独立してもいいというような約束をしていた。でもその後、自治区になり、今は自治区という名前ぐらいは残っているけれど、そのほかはすべてなくなりました。

 このようなことを日本人を含めたアジアの皆さん、世界の皆さんに訴えたい。中国共産党の約束を信じてはいけません。もし信じてしまったら、私たちのようなひどい目に遭います。文化大革命の時も、モンゴル人は一番ひどいジェノサイドに遭いました。研究者たちは何を主張しているか。文化大革命が終わった後、南モンゴルは文化的ジェノサイドに遭った。現在なぜそう言われているかというと、自分たちの文化、言語、歴史、経済、すべてを失ったからです。それに対して私たちは何も主張することができないし、抵抗もできません。これを研究者たちは文化的ジェノサイドと言います。

 先ほど杉田先生も、中国の実態について日本人に目覚めてほしい、危機感を持ってほしいと言ってくださいました。中国人というのは最初甘いことを言ってきて、自分たちの手にしたら、だんだんと何もやらない。このような私たちの歴史を見てほしい、知ってほしい。11月10日に南モンゴル世界大会という結成大会を東京でやる予定ですので、日本人の皆さん、ぜひ参加してわれわれの運動を応援していただきたいと思います。

 ペマ 彼は国が分断されている状況について一生懸命訴えましたが、たぶん日本ではモンゴルが二つになっていることすら意識していない、あるいは知らされていない現状があると思います。その中で今頑張っています。彼らは今度初めて事務所を持って、日本で活動しようというところまでたどり着きました。今後ともよろしくお願いします。
 次の方を僕に紹介してくださったのは東條由布子さんです。なぜかというと、日本がかつてアジアの中で一番かかわりのあったのはベンガル人です。タゴールもパール判事もチャンドラ・ボースもみなベンガル人です。そのベンガル人の闘争心を持って、正義感を持って日本で頑張っている人ということでシャーカーさんと知り合いました。彼はそれ以来、日本で頑張っています。日本の言葉をバングラデシュの人たち、あるいはベンガル文化圏の人たちに伝えています。自分のお金で、自分の時間を使って、雑誌を発行しています。日本とアジアのために頑張っているシャーカーさん、お願いします。

 プロヴィール・ビカシュ・シャーカー バングラデシュのシャーカーと申します。6回目の東京集会に来ていただいて、ありがとうございます。今日は時間が短いので、たくさんお話しすることができませんが、すばらしかったのはやはり杉田先生のお話だと思います。なぜかというと、民衆と歴史は同じ方向、同じ道で走らないと、何を目指しても達成することはできない。アジアの民主主義の国の中で日本は一番の民主主義の国でしたが、最近見ていると日本が何か死んでいるような気がします。この死んでいるという理由は、世界大戦の後、日本人がまったく歴史を知らないということです。

 先ほどの国連の話、ユネスコの話、中国の話はみんなわかっていますが、日本人は歴史を知らないから、よくわからない。日本人はなぜ歴史を勉強しないのか、知らないのかというと、やはり戦後の教育の問題だと思います。日本政府も日本国民も、日本の教育制度を変えたらどうでしょうか。歴史を知らない民族というのは世の中では一番弱い。だから日本は押されているのです。中国あるいは韓国は社会・歴史の中で、日本がいろいろ悪いことをしてきたと今でも子供に教えています。子供は1回そういうことを覚えると、頭からなかなか消えません。

 日本は悪いこともしたけれども、いいこともやりました。歴史の中でいいこともやったのですから、そのようないいことを振り返ってみて教育を変えたらどうですか。日本のマスコミは出していないかもしれないけれども、今はインターネットもあるのですから、自分の感じたこと、自分の知っていることをどんどん社会に流してください。杉田先生は頑張って今日ここですばらしいことをお話してくださいました。この国には立派な日本人、立派な国会議員がいるのに、なぜなかなかできないのでしょう。中国がこんなことをやったとか、韓国がこういうことをやったとか、そればっかりです。そうではなくて、自分の顔を見るのと同じで、自分の国の歴史をきちんと勉強する。そして闘う、排除する。日本の敵は200年前からあるわけだから、これからもある。その敵を倒すためには、まず歴史を勉強することです。

 ペマ 僕は今年3月バングラデシュに行ってきましたが、どこへ行っても早川先生のことをバングラデシュの独立に貢献したということで感謝していました。バングラデシュの国旗は緑に日の丸が付いています。あれも初代の大統領が感謝を込めて、日本を自分たちの一つの模範にしたいという気持ちも込めて作ったものです。

 彼らは僕よりも10年、20年若い人たちですが、ちょっと気の毒なのは、僕が彼らぐらいの年の時は本当に助けてくださった日本人がいっぱいいました。また日本のシステム上でも、多少小遣いぐらいあげても問題なかったのです。今はシステム上も、社長なども金を使わない。飲むためならば大丈夫かもしれないけれど、いいことのために使うことができないような社会になりました。早川先生のように、アメリカに相談もしないで日本がパッと、僕は日本が戦後の外交でやったことの中で一番いいことは、あの時、バングラデシュをいち早く承認したことだと思っています。そのために今でも感謝されています。

 次は中国の民主化です。私たちはここで対中国みたいになっているけれども、中国すべてがそうではないのです。私たちが闘っているのは、一つは帝国主義、共産主義です。その制度に対して闘っています。同様に他の国においても、民主主義のないところにおいて、アジア全体において私たちは当然、民主主義について闘わなければなりません。

 同時にもう一つ、杉田先生の話を聞きながら思ったことですが、たしかに日本では平和教育、平和がありますが、いつの間にか逆に平和ボケになっているのではないか。今年の8月6日、オリンピックがありました。その8月6日に中国の200隻以上の武装した船が日本の領海に入ってきましたが、翌日の8月7日、中国の武装漁船が入ってきたことは三面記事にしかなっていませんでした。オリンピックで日本人はテレビに釘付けになって、日の丸が上がるとみんな万歳をしています。しかし、その日の丸に万歳する日本人も、ときどき日本の国旗を持ってデモをやると右翼だと言います。どちらが正常な日本人で、どちらが異常な日本人なのか、わからないような環境で闘っています。

 中国の中でも今、中国をただそうと、中国を国際社会の一員として、まともな民主主義国家として、法治国家として何とかなってもらいたいと思って闘っている人たちがたくさんいます。今日はそういう人たちの中で王戴さんが来てくれています。

 王戴 こんにちは。私は日本中国民主化運動団体協調会の王戴と申します。今日はアジアの民主化という話になっていますが、世の中、昔と比べると民主化される国家はものすごく増えています。現在まで百二十数カ国が民主化の制度を採り入れて、世界中で変化してきています。ただ、残念なことですが、もっとも人口の多い中国はまだ独裁体制のままです。世界のパワーバランスの変化は、昔はまず大西洋中心でやっていましたが、今アジアのほうにどんどん移動しつつあると思います。

 ある学者は、こうした変化の担い手はおそらく新興国の中国とインドだと言っていますが、私から言わせれば、中国にはそういう資格はありません。なぜか。もう一つのインドという国は、世界の民主化している国の中では人口の一番大きい国です。ここの政府は国民から選挙によって選ばれています。日本はアジアにおいてもっとも影響力を持つ国だと思います。その担い手になる、もっとも関連するのはアジアにおいても世界においても、日本だと思っています。日本はこうした国に働きかけて、国連においてもアジアにおいてもとことん話すべきです。中国の今の独裁体制のドアをたたく必要があります。もちろん困難でしょう。ただ、不可能ではない。中国にノーと言えない国々はこれからどんどん威圧され、発言権を奪われていくでしょう。自分の国の国益を守ることができなくなる。

 皆さんもご存じだと思いますが、1989年、六四天安門事件が起こりました。このお陰で私たちは、日本で中国民主化を目指して活動をしてきました。昨年の12月10日、アメリカ在住の中国民主化運動の活動家である?ヨウケンミンさんの発案で、アメリカの国会で、今度は国連で六四天安門事件をユネスコの記憶遺産として登録するようなイベント、キャンペーンを全世界に展開しています。もちろん私たちのホームページにもこのキャンペーンの署名サイトが載っていますので、皆さん、見てください。

 日本社会、日本の国民、日本の皆様、私たちは中国民主化と関係ないからということではなくて、皆様もすでに当事者です。私たちの活動は、中国だけではなくて世界の平和のためでもあるのです。中国民主化運動がもし消滅していくなら、中国政府の思うまま、やりたい放題になってしまうでしょう。考えてみたら、周りの国でも国際的に非難されているのはほとんど独裁国家です。そして、その独裁国家の後ろ楯になっているのはほとんど中国だということを私たちは認識しないといけないし、日本社会も認識するべきです。これから中国民主化運動を応援していただければありがたく思います。

 ペマ 日本のメディアを見ていると、習近平は絶大なる力を持って、毛沢東に次ぐ権力者になっているように伝えています。しかし別の見方をすれば、たぶん江沢民も胡錦濤もそんなたいした力を持っていなかったけれど、ぐっすり寝られた。今の習近平体制の独裁体制に対しては、ぐっすり眠れないような状態がずっと続いているのが現状だと思います。このわずかな彼の弱点、この何年間でつくった多くの敵、そういうことを考えると中国の敵は中国かもしれません。その時に、このような人たちがやがてその国のリーダーになるわけです。

 チベットにおいても、私たち外国にいる人間は全体から見るとわずか2、3%か、せいぜい5%です。95%の人たちは共産党のもとで毎日、24時間監視されているような生活をしています。また半分以上の人たちは、私たちが難民になった後の中国共産化のもとで生まれています。しかし、その中国支配下のチベットにおいて現在も抵抗している人たちは中国共産党のもとで生まれた人たちです。

 例えばこれから紹介する人も共産党のもとで生まれましたが、彼はチベット魂を持っています。チベット人だというアイデンティティを維持しています。私が日本に来た時はまだ13歳と初々しかったのですが、残念ながら、もうどう考えても私は未来の人ではありません。現在は何とか頑張ってやらなければなりませんが。未来にかけてこういう人たちがいることをとてもうれしく思っています。チュイ・デンブンさんを紹介します。彼は僕のもとで博士号を取り、そして自分も表に出てチベットの現状について話したいと、このような大きな場所で話すことにそんなに慣れていませんが、これから頑張ると思いますので、自己紹介も兼ねて話をしてください。

 チュイ デンブン 皆さん、こんにちは。チベット出身のチュイ・デンブンです。今日はお忙しいところを集まっていただきまして、まことにありがとうございます。私は今から16年前の2001年に、留学生としてチベットから日本に来ました。この16年の間にわがチベットにおける中国の植民地政策はさらに強化され、今われわれチベット人も内モンゴル人、ウイグル人も、すでに消えてしまった満州人と同じように民族的な危機に直面しています。民族的な危機とはどういうものか。われわれチベット民族の消滅です。

 中国は私たちチベット人の消滅のためにあらゆる戦略、戦術を使ってきました。この戦略、戦術について中国を専門としているある研究者は、サラミスライス戦略とキャベツ戦術という皮肉な言葉で表現しています。サラミスライスとは何か。サラミは丸ごと食べると相手に気付かれる。相手に気付かれないようにするには、薄くスライスして少しずつ食べて、相手の力を緩めながら制圧するという方法です。キャベツ戦術とは何か。キャベツの芯はたくさんの葉っぱに取り巻かれています。目標を達成するために、政治力、軍事力、経済力、人口力、さまざまな戦術を使って目標を達成するという方法です。中国はこの戦略、戦術を使って周辺民族を征服し続けてきました。中国共産党はキャベツ戦略、サラミスライス戦術で私たち周辺民族、チベット民族の消滅を図り続けています。こうした戦略、戦術は皆様ご存じのように南シナ海、東シナ海においても展開されています。

 このような厄介な国、中国は日本の隣にあります。アジアで唯一の自由民主主義の先進国・日本の隣に人権、自由、民主、平等、公正、法の支配などの人類の普遍的な価値観を破壊する国があることは、皆さんにとって恥であれ、誇りではありません。アジアの大地に普遍的な価値観を破壊する国があることは、アジアの人たちの恥であれ、誇りではありません。

 21世紀に入った今日でも中国は国際秩序、国際的常識をないがしろにした大国意識で植民地政策、領土・領海の拡張主義を強めています。日本はこれを絶好のチャンスとして、今までの狭い思想から独立して、国家、人種、文化の枠を超えたアイデアで中国の民主化を、アジアの民主化を力強く支えてリードしてほしいと思っています。

 ペマ 第1ラウンドはそれぞれ自分の属する組織、民族などを代表して話をしてもらいました。第2ラウンドはそれぞれの自分の夢、民主主義、日本という三つのキーワードで話をしてもらいたいと思います。
 では第2ラウンドに入ります。今度は先輩としてまずアウン・ミン・ユンさんからお願いします。キーワードは自分の夢、日本、民主主義です。

 ユン 私の夢はもちろんベトナムが民主化国家になることです。ベトナムの民主化運動はもちろんベトナム国民の力によりますが、それでは足りないと思うので、日本、アジアの国々が一緒に民主化活動をしていただきたい。今のベトナムで一番怖いのは中国の覇権主義です。日本は去年、憲法9条を改正して、中国はあの憲法を戦争の憲法と言っています。残念ながら日本の共産党も同じで、中国の立場にあります。ベトナムの共産党政権も同じように言っています。でもベトナムの国民は、それは戦争の憲法ではない、平和の憲法だと言っています。なぜならば今のアジアの戦争は誰が起こすかといったら、中国です。あの憲法は本当はアジアから戦争を追い出すための憲法です。

 去年の拓殖大学の南シナ海のシンポジウム、日本会議の1万人大会にベトナムから共産党員が1人参加しました。彼は今のベトナム共産党政権は中国の傀儡政権だから、ベトナム人がもし自分の国を守りたいならば日本、アメリカと協力しなければならないと。しかし、それでも足りません。実際に民主化をしないと自分の国は守れません。同じ共産圏だから中国の言う通りにしなければならないというのが今の政権です。これからベトナムが民主主義の国になるため、日本は憲法9条を破棄していただきたいと思います。

 ペマ 杉田先生のお話ばかり引用しますが、先ほど杉田先生は女性の地位についてお話しになりました。僕の記憶だと、国連の72の次官補の中に女性はたった17名しか採用していないのが現状です。そこで、特に尊敬を込めて次は女性の王明理さんにお願いします。

 王 日本に求めることとして、今私たち台湾人が願っていることは何か。1972年、アメリカ政府は中国共産党、中華人民共和国と国交を樹立し、その時に多くの国が台湾と国交を断絶しました。その時にアメリカは台湾関係法という国内法を作って、台湾人との関係を切るわけではないという準備をしたうえで中華民国との国交を断絶しました。しかし日本の場合、そういう準備もなく、ある日いきなり中華民国との平和条約を破棄してしまったわけで、その弊害はいまだに続いているので、今私たちは日本版の台湾関係法を日本に作ってもらおうという運動をしています。これは日本人に頑張ってもらうしかないのですが。
 私たちは台湾の独立運動をずっとやっていて、日本に感謝しつつ、一方で大変に物足りなく思うところもあります。日本の政府、特に外務省はとにかく中国の顔色ばかり伺って、自分で考えないで、中国が怒るかどうかを自分の行動基準にしてきたようなところがあります。それを早くやめていただきたい。中国が怒りそうなことはいいことだと。

 台湾の民主化を外から支えたのが、私たち海外に出た台湾留学生でした。ペマ先生もそうですが、今日ここにいらっしゃるいろいろな国の方々と同じです。国内にいては弾圧されてしまう場合、どうしても外に出て発言するしかない。それはペマ先生、イリハムさん、ここにいらっしゃる皆さんの、迫害されている民族の中の知識人の義務でもあるわけです。外に出て民族のために闘わなければいけない。
 台湾の場合、日本で独立運動の火をつけたのですが、アメリカの留学生たちがすごく活動しました。アメリカの場合はロビー活動というのがありますよね。台湾独立建国連盟のメンバーたちがアメリカの国会議員にすごく働きかけて、アメリカから台湾の政府に対して人権侵害をやめなさいということを言ってくれました。これがかなり大きい力になりました。外からはその力、また国内ではそれが功を奏して、蒋介石の息子の蒋経国政権の時に李登輝さんという台湾人が副大統領になって、蒋経国が急死してしまったためにたまたま李登輝さんが総統の地位に就くことができて、それが台湾国内の民主化を推進する大きな力になりました。

 何が言いたいかというと、アメリカ政府が果たしてくれた外からの外圧を、これからは日本にやってもらいたいのです。日本にはそういう力があるはずです。日本ができないのは中国の顔色を見ているからで、それが行動を縛っているのです。しかし、これは中国を利するだけで、日本のためにもなりませんし、アジアのためにもなりません。お世話になっている日本の政府の方に私たちがやってください、やってくださいと、どのようにやっていくか。地道ですが、選挙権を持っている日本人、在日外国人でも選挙権を持った人たちが議員さんに働きかけていくしかないと思っています。

 ペマ それでは、イリハムさん、お願いします。

 イリハム 夢というと、もちろんわが民族も自由民主化の国の人々のように自由に、もっとも基本的な人権を実現しながら生きていきていただきたいということです。彼らは自由とは何か、民主とは何か、その基準そのものをまだ理解していないと思います。長い間、独裁者の洗脳教育のもとでやってきていますから、命そのものが脅威にさらされていなかったらそれで十分ではないかという考え方で生きています。人間らしさを失っているというのが、中国独裁政権のもとでの人々の考え方だと私は思います。

 もちろんその中でもレジスタンスはあります。中国から見るとテロリストですよね。第2次世界大戦の時、ドイツに対して、あるいは侵略者に対してのものだったら、それらの抵抗運動はレジスタンスと言われました。今の侵略者・中国に対して私たちの行った抵抗運動がテロになってしまうのはおかしな基準だと私は思います。私たちが自分の国土からすべての侵略者を追い出して、自分の権利を守るのはあたりまえのことです。こういうことも日本の社会は、日本の政治家は理解して堂々とわれわれを支援・応援してほしい。あちらがテロと言ったら、こちらがテロ支援者になってしまうということではなくて、堂々とこれは別だと。私たちが別の国へ行って、その国をめちゃくちゃにしたらテロと言われてもしょうがないけれども、私たちは自分の土地、自分の国の中で侵略者を追い出すために闘っている。私たちはそれは正しいことだと考えています。これからもこういう点を日本の社会、アジア、世界の民主化の国の人々に正しく理解していただければ、私たちの自分の目標に達成するための道はもっと短くなると思います。

 ペマ イリハムさんは年は一番若いけれど一番存在感のある方で、先ほどの日本における世界ウイグル会議を成功させました。もし彼がそれを成功させなかったら、彼の人格を抹殺するような行動をする人は出てこなかったかもしれません。目立っているというのは、いいこともあれば、たまにはそれによってマイナスになることもあります。あなたは年は下だけど頑張っているから、私は尊敬しています。
 次にダイチンさん、お願いします。

 ダイチン 私は中国の教育システムのもとで教育を受けてきましたので、いくらモンゴルで受けたとしても質問に答えることしかできないという悪い癖があります。論じるということがなかなかできない。頑張って勉強しているところです。
 私の夢というと、やはりモンゴル人として独立したい。これが私の夢です。ただ、自分だけではなくて同胞たちの夢を併せて言うとしたら、自分が独立したいと言って、ほかの人もみんな独立しなければいけないと押しつけてはいけません。私たちは同胞たち、南モンゴル人の、モンゴル民族の自決権を勝ち取りたい。これが私たちの目の前の夢です。そのために私たちは活動していますし、発表していますし、現状を訴えています。
 では、日本に何を訴えたいか。日本と南モンゴルの間は戦前、戦中を含めて深い関係がありました。戦後は逆にまったくなくなってしまって全然わからなくなってしまいました。1945年以前は南モンゴルでした。満州の一部はモンゴルでした。その西側にモンゴルの自治邦もありました。みんな独立のために頑張っていました。その時の日本とモンゴルというのはとても仲がよかったというか、深い関係にありました。応援もしていただきました。その時のモンゴル人は、日本の応援のもとで独立しようとしていました。

 今の南モンゴルはどうかというと、目標、目的はまったく一緒です。戦前のように日本の応援をいただきたいと思っています。ただ違うのは、今は民主主義が世界の普遍的な価値観ですから、私たちは日本から募金をもらって独立を図りたいということではないのです。このアジアで一番、世界で一番の民主主義国家・日本はわれわれを経済だけではなくて、経済では日本は間違いなく世界中から尊敬を受けていますが、自由、民主主義という価値観のところで中国を批判してほしい。われわれ南モンゴル人、あるいはチベット、ウイグルも一緒ですが、被害を受けている人たちのために声を出してほしいのが今の私たちの日本に対する期待です。これからのもっと大きな期待を含めて、先ほど王先生もおっしゃっていたように、ロビー活動も含めて台湾に対しての期待もとても大きいものがあります。よろしくお願いします。

 ペマ それでは、シャーカーさん、お願いします。

 シャーカー 僕の夢は、ないと言えばウソになります。夢はたくさんあります。ただし、夢をかなえるのはなかなか大変で、なかなか実現できません。今日ここには中国から亡命した友達もいますし、モンゴルから来ている方もいらっしゃる。みんなの話を聞くと、問題だらけです。でも、問題だらけだと思うと心が沈んでしまいます。やはり自分の夢に自信を持つ。自分の自信が先です。その自信を人にどんどん伝える。その力がなければ、そこでやめたほうがいい。中国の現状を見てみると、周りの国々、あるいは中国の中にも独立を求めている民族がいます。100年あるいは70年前のインドの独立の歴史を学ぶべきだと思います。
 日本というのはおもしろい国です。日本はいろいろな民族に独立を与えるために一生懸命頑張りました。でも、そういう歴史があまり書かれていません。日本では書いている方もいますが、英語であれ、ほかの国であれ、全然書いていません。例えばインドの独立に対して日本がどのような役割を果たしたのか、どのぐらい貢献したのか。そういうことを書いているものは、わずかしかありません。インド人も書かないし、日本人も書かない。書かれていても読まない。一生懸命研究して、自分でお金を払って人に話を聞いて、本を買って、情報を集めて、書いても売れません。どうすればいいのでしょう。

 インド独立の時、100年前、70年前の日本に亡命してきたのが中村屋で有名なビハーリー・ボースです。その後、チャンドラ・ボースなど優れた方々が皆さん、インドから日本に亡命してきました。インドでも当時、ビハーリー・ボースはテロと言われていました。その後、日本に来て頭山満と会いました。頭山満以上の人は日本には誰もいませんでした。日本政府も頭山満を尊敬していました。頭山満の主導で孫文も、ビハーリー・ボースも、チャンドラ・ボースも日本に来ました。みんな頭山満のもとに集まってきました。彼は面倒を見てくれましたが、ただ面倒を見るだけではなくて、地方に連れていって講演させたりしました。それで日本の人たちの耳に入った。日本の人は見たわけです。彼らは自分の国の独立のために一生懸命頑張っているんだなと。日本人の心を動かさないといけないとどうしようもない。日本の力というのは日本の政府ではなくて、日本の国民です、日本の知識人です。田舎に住んでいる大勢の日本人です。戦前、インド独立の時の日本はそういう状況でした。今の状況とはまったく違います。

 ビハーリー・ボースは4冊の本を書いています。日本の各新聞に、インドの状況を書いて取り上げています。白人はかつて、アジアではこのようなことをやっていた。人の心を動かさないといけない。状況を伝えないといけない。今、中国の共産主義の下で大勢の人が苦しんでいるかもしれないけれど、本当にどういうことが起きているのかわかりません。新聞を見るとほとんどがウソです。わかりません。でも、何か受けている。そういう方々を連れてきて、事実を皆さんに見せて、聞かせなければいけません。日本の新聞に書くことです。新聞にどんどん書いて知らせてください。知らせないとどういうことが起きているのか誰もわかりません。ただ会議を開いて、日本人に協力してもらいたいといっても無理です。
 外国人も日本の歴史を勉強して、日本の習慣、生活を勉強して、日本人と同じように頑張って、日本の方を友人にして自分の問題とか現状を伝えてください。そういうことが戦前の日本でもあったのです。ビハーリー・ボースはあちこちへ行って講演しています。差別を受けたけれど、やめなかった。頭山満さんも頑張りなさいと言った。日本という国は頑張れば何とかなるという国です。頑張りが足りないのです。自信を持って、自分の問題を一人ひとりに伝えてください。

 ペマ ベンガル人は本当に雄弁家です。僕はベンガル語はよくわからないけれど、チャンドラ・ボースの演説を聞くだけで心が熱くなったり涙が出たりします。大きな魂を持った言葉で、雄弁に伝えることが上手ですね。時間を守らないのはあれですけれど、そのへんは許すことにします(笑)。
 次に王戴さん、お願いします。

 王 中国の民主化はおそらく今世紀最大の課題だと思っています。なぜかというと、いろいろな人の権利が奪われてきた。先ほどペマ先生がご紹介した相林さんもそうです。相林さんはフェイスブックを通じて、写真付きのある記事を書きました。ご両親の祭壇にお線香をあげたことの感想です。その動画を世界中の仲間たちが見たわけです。なぜかというと、彼は帰ることができないから、親孝行ができない。普通であれば、私たちは親孝行をしたい。親孝行はアジアの文化の美徳だと思います。でも、その権利も奪われているわけです。もちろん相林さんだけではなく私たちみんなそうです。ですから、中国の民主化はとても重要です。

 中国の今の独裁体制が恐れるのは、目覚めた国民です。世界中に私たちの仲間がいます。私たちの活動を応援してくださる組織、国家、団体、個人を、当局としてはとても恐れています。彼らは正義と公平を求めること自体を恐れています。私は絶対に命を賭けて中国の民主化運動を続けることは自分の心の中で決まっていて、それなりの覚悟もできています。今朝、中国語のテレビのニュースを見ました。中国の…?…で情報が伝えられています。昔の中国ではいろいろな偽物がありましたが、今も全部偽物です。最新の偽物としては「にせハチミツ」があります。私は毎朝コーヒーを飲んでいますが、砂糖の代わりに必ずハチミツを入れる。このハチミツは中国製で、何か心配になってきました(笑)。これはとても辛いことです。日本の芸人である、とにかく明るい安村さんの「安心してください、穿いていますよ」というギャグがありますが、そうではない、安心できない中国政府はだめですよと言いたい。私だけのことではなく、日本の皆さんにもそういう自覚を持ってほしい。中国にノーと言える民族、ノーと言える国になってほしい。

 ペマ 最後に、チュイ・デンブンさん、お願いします。

 チュイ 私もダイチンさんと同じように2001年まで中国の教育を受けてきました。いい教育、悪い教育、いろいろな教育を受けてきましたが、その中の非道徳、非合理的な教育には汚染されていません。私の夢は中国の民主化です。中国の民主化を、行政にまずさせることが日本への期待です。中国の民主化は、21世紀の国際社会におけるもっとも重要な課題だと思います。
 民主化といっても、中国の民主化はロシアと同じような民主化ではなくて、欧米、日本の民主化、あるいはそれ以上の民主化です。つまり自由、民主、平等、公正、法の支配など人類の普遍的な価値観を一人ひとりが体験できる民主化。今の中国に植民地支配されているチベット人、内モンゴル人、ウイグル人、その他の民族の民族自決権というあたりまえの権利を尊重したうえでの民主化を望んでいます。これから日本政府は、そういうことを少しでも力強く、今までの中国に対する遠慮という態度から離れて、遠慮なしの、おもてなしの態度で支えてほしいと思います。そうにしないと、先ほどお話ししたように中国はキャベツ戦術、サラミスライス戦略をどんどん加速化していくでしょう。そして、中国の不安定な政治体制の脅威、人口の脅威、難民の脅威、軍事的な脅威は日本の国土まで上陸してくると思います。

 ペマ チュイ・デンブンさんとダイチンさんの話を聞いて思うことは、私たちの肉体を殺すことはできも精神を殺せないということです。お2人とも中国の悪政の中で教育を受け、そして洗脳されたはずでした。しかし、彼らは自分たちの良識に基づいて祖国の復帰と真の民主主義のためにその精神を発揮しています。このことはやはり精神が大切だなということを考えさせられました。
 日本の新渡戸稲造先生の武士道も、岡倉天心のお茶も、英語で入った時のその人たちの気持ちは、今ここにいる人たちの気持ちに共通するものがあると思います。その一つは何かというと、お茶の話ではなくて、日本の文化の話、そして日本の精神性の話を相手に一生懸命伝えようとしていた。岡倉先生は違うかもしれませんが、内村鑑三先生、新渡戸稲造先生はキリスト教徒ではあったけれど、日本魂、日本の精神は決して変わることがありませんでした。今ここにいる人たちもいろいろな逆境の中において、いろいろな洗脳教育をされても自分たちの魂を持っている。もう一つ、人間共通の魂として自由、平等、博愛、思いやりという本来、人間の持っているものを失っていないということだと思います。

 今日、彼らからも自分たちの夢についての話がありました。私としては日本がもう一度、先ほどシャーカーさんが言ったように、1800年代後半から1930年代の日本がアジアで果たしたような役割を果たして、日本で今一生懸命勉強している人たちが、やがて自分たちの国に帰ってからリーダーになれるような、そういう人材を育ててもらいたい。現にミャンマーのアウンサン・スーチーさんにしても、何らかの形で日本の教育を受けた人、あるいは子孫です。インディラ・ガンジーにしても、お父さんが刑務所にいる中で、日本という国、日本人はこんなにすばらしい、こうやって頑張っているということを親から子への手紙を通して勉強しました。今日、シャーカーさんがお話ししたような方々、有形無形の日本の先輩たちのお陰で今のアジアがあるわけです。日本から再びアジアのリーダーを育てていただきたい。同時に日本は自分の才覚というか自覚を、このような私たちの訴えを通してして持っていただければと思います。
最後に、今私たちは何をやろうとしていて、皆さんに何をお願いしたいかということを申し上げたいと思います。一つは、当初も申し上げましたようにこのグループは3民族、つまり中国の植民地にされているチベット、ウイグル、モンゴルで始まりましたが、現在はより普遍的な価値として、民主主義とは何か、自由とは何かということを問いかけています。そして何よりも、もう一つのアジアの定義ですね。

 かつてタゴールさんは、岡倉天心はアジア主義、そして自分たちがアジア人であることの意識に目覚めたと書いています。だけど、今アジアにおいて、例えば外務省のアジアという定義と国連のアジアの定義は違います。また日本のマスコミのアジアというと、台湾で歌ったらすぐ「アジアの歌姫」になったり、デビューしてちょっと有名になったらアジアの何とかと言いますが、それから向こうは全部忘れているような状況です。その中で、私たちとしてはできるだけきちんとしたアジアの概念を日本にも持ってもらう。そして私たちも逆に、日本はアジアの一員であることをそれぞれの地域、民族に伝えることが必要だと思っています。これが第1点です。

 第2点に、私たちはたとえ民主主義であっても他の民族に押しつけてはならないと思っています。今の中東問題などを見てもわかるように、相手の国々、主体性を持っている民族がそれを受け入れる準備があるかどうか、受け入れるかどうか。どんないいことであっても、相手に押しつけることはよくないと思っています。私たちは自由な社会、日本で何でも勉強できます。したがって、日本に来ているほかのアジアの国々の人たちとも、さらに輪を広げて、できるだけ共有できる価値観を構築していきたいと思っています。
 政治制度や憲法に書いていることより、それを誰がどのように使っているか。このたび亡くなられたタイの国王は、国王に与えられている憲法上の地位だけではなくて、あんなに愛されているのはやはり国王自身の人徳というか、国王の国民に対する思いやり、愛というものが国民に本当に伝わっていたからでしょう。テレビを見てもわかるように、国民すべてがあんなに悲しんでいる様子を見ると、僕の印象では日本においては昭和天皇があります。私が日本に来た1965年ごろ、何とかして先進国になろう、西洋に追いつこうと日本人はみな頑張っていました。その時はまさに耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶという言葉の意味が国民みんなの潜在意識にあったように思います。国民全体が共有できるようなもの、私たちがアジア人としてアジア全体が共有できるようなもの、それを何らかの形で勉強していきたいと思っています。

 この会を維持するためには会員が増えなければなりません。皆さん、友人、知人にこういう会があるということを伝えていただいて、1人でも会員になってくださる方、あるいは会に顔を出すことができなくても、顔を出してくだされば一番いいけれども、せめて協力者としての寄付などをしていただければ大変ありがたく思います。会場一つ借りるにも今の時代、金がかかるわけです。幸いにして、この会は5年目を迎えることができました。ここにいる人たちと、そして今日はいないけれど、このほかに七つの民族が一緒に行動をしています。私たちの今までの経験が生きていると思いますが、今のところ私たちの中で何か問題が起きるとか、外部から来てめちゃくちゃされることなく、ここまでみなで団結して協力してきました。

 もちろん、このようなことができるのは日本人のスタッフの方々のお陰です。理事になっている方、あるいは裏方として見えないところで支えてくださっている方々、そして協力団体として呉竹会、日本会議、頑張れ日本全国行動委員会、日本青年協議会、このような方々あるいは団体が今日まで支えてきてくださったお陰です。このことは将来きっと歴史に残る。今私たちがやっているのは、まさに歴史を作っていることだと自負して頑張っています。
 今日は日本クルド協会の方もお見えです。できたら今度、日本クルド協会も協力団体としてお願いしたい。私たちもそれぞれの団体の主体性を持っていることに対して協力団体というか、そういうことも逆にやっています。テイク・アンド・テイクだけではなくて、ギブ・アンド・テイクの精神で私たちは私たちなりの、微力ながら協力できることは協力していきたいと思っています。あと、出版関係をもう少し強化していきたいと事務局をはじめ頑張っています。今年あたりは大会の成果としてのものを何らかの形でまとめて、多くの人たちが見られるようにしたいと考えています。
 
 今日はユネスコの話が出ましたが、国連の今の事務総長の潘基文さんにしても、ユネスコの事務局長にしても、国際公務員としての感覚がまったくない、中立性がまったく守れない、そういうひどい人たちが約10年間、国連を運営してきました。今回はボコヴァがなれなかったというのは非常な救いです。今度の方は、前の難民高等弁務官であって、ポルトガルの首相も務めたグテーレスさん。彼の過去を見ていると調整能力も多少あるし、公平さも少しは期待できるのではないかと思っています。そうなればユネスコの事務局長をはじめ、いろいろな人事異動もあるでしょうから、そういうことにも期待したいと思っています。
 
 今の国連は、日本国憲法と同様にもう古いのです。52カ国から始まって、今193カ国です。その時の状況と今の状況はまったく違います。当時の国連は勝利した国々の団体で、特にアメリカの影響力は絶大なものがありました。しかし1960年代、70年代において、それこそ日本が戦ってくださったことによってアジア・アフリカの国々が英国やスペインやポルトガルなどの植民地から独立して、今日は193カ国になっています。

 それと同時に、当時の国連憲章第53条で日本を敵国として扱っていますが、今はその日本がいなかったら国連が運営できないような状態です。経済的にも、またいろいろな面で日本が大きな役割を果たしています。ですから、国連そのものも改革して、日本、インド、南アフリカ、あるいは最近、ブラジルは低迷していますが、今の国際社会においてそれなりの力を持っている国々が国連の安保理の常任理事国になって、いい意味で国連の権能を高めていくことが非常に必要だと思います。
 
 国連憲章と日本国憲法と世界人権宣言の三つは同じグループの人たちが作りました。そして文型も内容もだいたい似ています。この中で世界人権宣言だけは、私はそれなりに評価できると考えています。でも、それも、世界人権宣言ができてから人々の権利を尊重するようになったと言うけれど、仏教聖典からいくと、こちらのほうが今の時代にもっとふさわしいと考えています。
 岡倉天心のお茶の本の中でも、花に命があると。今私たちは環境問題とかそういうことを言う時に、花に命があるなどとは思っていません。特に17世紀あたりからの産業革命以来の文化は、進歩のためには何でも破壊する。そして宗教によっては、あらゆるものは神が私たちのために与えたものだから、勝手に壊し、勝手に使えばいいという思想よりも、あらゆる生命を尊重する考え方ですね。私たちの命と世界の人々、私たちが生きていくことも全部関連しているという意味では、世界人権宣言以上のものが2500年前のお釈迦さまの教えの中にすでにあるということを、西洋の国々の人たち、哲学者の人たちは逆にわかってきていると思います。お釈迦さまが2500年前におっしゃったことが科学的に証明されているものがたくさんあります。
 
 私たちは時代認識をきちんと持ち、この先に対応していけるような団体になるように努力していきたい。そのためには皆さんのお力添えがなければなりません。言いたいことも言い尽くしたような気がしますので、次の行事予定に移りたいと思います。今日発言してくださった方々に、感謝ではなくて激励の意味でもう1度拍手をお願いします。


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第1回アジア自由民主貢献賞

 司会 続きまして、アジア自由民主貢献賞を発表させていただきます。本年度よりアジアの民主化を促進する東京集会にて、私たちは今年、民主主義と自由のために貢献した方の栄誉を称え、アジア自由民主貢献賞を授与することとしました。この栄えある第1回の受賞を香港に拉致されて中国本土で8カ月にわたり拘束されていた銅鑼灣書店の林栄基さんに授与したいと思います。彼は中国共産党の暴力に屈することなく、彼らの言論弾圧の実態を勇気を持って告発されました。本日は日本在住の中国民主化運動家で、本日来ていただいている相林に、林さんの代理として記念のトロフィーをお受け取りいただきます。相林さん、前のほうまでお願いします。

 ペマ 第1回アジア自由民主貢献賞。ミスター林栄基。貴殿は中国政府の拷問と弾圧に屈することなく、言論の自由、出版の自由という普遍的な価値観を守るために闘い、世界中の人々に感銘を与えました。私たちは第1回アジア自由民主貢献賞を貴殿に贈呈し、その勇気と信念を称えます。2016年10月15日、アジア民主化を促進する東京集会。一般社団法人アジア自由民主連帯協議会。

 司会 トロフィーがございます。

 ペマ 金を張るとかいろいろ考えましたが、やはり私たちの気持ちがすっきりした、何の概念もなく清らかであるという意味で水晶にしました。頑張ってもらいたいと思います。

 司会 この受賞を受けまして、相林さんよりお言葉をいただきたいと思います。

 相林 今日は林さんの代わりに賞をいただきまして、非常にうれしく思います。林さんは去年、中国に行った時に拘束されました。彼は6月に香港に戻りました。戻った原因は何かというと、彼の本屋のコンピューターの中に、中国政府で発禁になっている本を買った人の名簿が入っていましたから、その名簿を取らせるために1回返したのです。後ろに数人の中国の公安が付いていました。本人は帰る約束の日に港で泣いた。帰ったらまた自由がなくなるから。彼は香港の民主党の議員に救いを求めました。何さんです。何さんというのは、私と田中さんが97年に一緒に会った何さんです。香港の立法会の民主党の議員をやっています。何さんに援助を求めましたら、何さんはすぐに記者会見を開きました。それで林さんのことを全世界に広めたのです。
 
 7月1日は中国共産党の設立記念日です。香港では毎年、数十万人のデモをやります。今年もやるはずでした。林さんはそのメインに出てもらっていた方ですが、その日に林さんは急に来られなくなりました。その時は何も言わなかったけれど、7月9日に彼は本当のことを言いました。彼は6月に戻って、7月までの間、6回誘拐されそうになっている。ですから彼はもう出られなくなったわけです。彼は7月から香港の警察署に人身保護を受けに行き、2カ月ぐらい人身保護を受けていました。1カ月前に解除しましたが、人身保護を受けると24時間かくまってもらいますから、本人も自由は全然ありません。話がこのぐらい大きくなると、おそらく中国政府も香港に来て彼を誘拐はしないだろうと香港政府も判断したんだと思います。それで解除したわけです。ただし、本人は今も自宅に戻っていません。あちこちでかくまわれています。
 
 彼は10日前にBBCのインタビューを受けました。その時、西側のすべての民主主義の国が香港の問題にもっと関心を持ってほしい、もちろん中国の民主化にも関心を持ってほしいと述べています。今日の皆様は皆、中国共産党に弾圧された民族、地域の方々です。彼は言いませんでしたが、中国共産党はアジアのガンです。このガンを取り除かないかぎり、皆様だけではなくて日本の皆様もそうです。東シナ海、南シナ海の問題をどう思いますか、全部、中国共産党絡みの問題です。だから、われわれを助けるということもそうですが、実際は日本を助けることになるのです。これをわれわれは二十年前から言い続けていますが、当時の中国共産党は今ほど強くなかったので日本の皆様は感じていなかった。日本のODA、円借款などのお陰で中国はどんどん大きくなり、中国の怖さを日本の人たちもわかるようになったと思います。

 この後、最後に声明文が、協議会副会長吉田康一郎により読み上げられ、会場の拍手により承認され、第6回アジア民主化集会は閉会しました(文責 三浦)


【動画】第6回 アジアの民主化を促進する東京集会
https://www.asiandemocracy.jp/2016/10/28/233
こちらの記事では集会の動画を紹介しております。